研究課題
本研究では、アルツハイマー病(AD)の早期臨床検査試薬を開発するため、次の3点を重点的に行う。①シトルリン化(Cit-)グリア線維性酸性タンパク質(GFAP)を高感度に検出するELISAシステムを構築し、ADの早期診断を行う臨床検査試薬を完成させる。②AD患者には、シトルリン化されたAD関連蛋白質に対する自己抗体が産生される可能性がある。そのため、Cit-GFAP,に対する自己抗体の有無を検出する検査試薬を開発する。また、③構築したCit-GFAPの高感度ELISAシステム(酵素免疫測定法)やCit-GFAP自己抗体検出試薬を用いて、ヒトでの臨床試験を実施する。平成27年度、①ヒトGFAP組換えタンパク質(rhGFAP)とヒト2型PAD(hPAD2)組換えタンパク質を用いて、Cit-hGFAPを作製した。また、プロテオーム解析により、シトルリン化部位を同定した。②抗原としてCit-GFAPをマウスに免疫し、Cit-hGFAPに反応する8種類のモノクローナル抗体を得た。③免疫沈降を行った結果、8種類のうち5種類のモノクローナル抗体がAD脳に存在するhGFAPを免疫沈降することがわかった。また、ウエスタンブロット解析によりhGFAPとは反応せず、Cit-hGFAPに強く反応すると共に、AD脳抽出液に反応性を示す抗体CTGF-1221を見出した。④免疫組織染色により、CTGF-1221はAD脳の反応性アストロサイトを染色することがわかった。⑤固相抗体にCTGF-1221、標識抗体にCit-hGFAP、hGFAP両方に反応するCTGF-1214Rを用いたサンドイッチELISAを開発した。現在、開発したELISAシステムの特異性と得られたモノクローナル抗体を用いて、免疫組織染色による反応特異性を確認している。
2: おおむね順調に進展している
研究計画に記載した内容を順調に行うことができた。また、非常に興味深い結果も得られた。
研究は概ね順調に進展している。現在、研究計画に変更や解決すべき課題等は特にない。
研究進行上、翌年度の使用が必要になったため。
翌年度以降に全て使用する予定である。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
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