研究課題/領域番号 |
15K15108
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉田 紀子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (70749788)
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研究分担者 |
石田 孝宣 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (00292318)
多田 寛 東北大学, 大学病院, 講師 (50436127)
宮下 穣 東北大学, 大学病院, 助教 (60710788)
渡部 剛 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70451573)
大内 憲明 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90203710)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | エストロゲン受容体 / プロゲステロン受容体 / 蛍光ナノ粒子 |
研究実績の概要 |
乳癌の70-80%を占めるエストロゲン受容体(ER)陽性乳癌において、内分泌療法は必要不可欠であるが、それらに耐性を示し予後不良な症例が散見される。内分泌療法耐性例ではエストロゲン枯渇により膜型ERが増殖し、Non-genomic actionとしてPI3K,Akt,MAPKなどのリン酸化を引き起こし、リガンド非依存性に腫瘍増殖を活発化し、予後に関与するといわれている。一方で、ヒト乳癌組織における膜型ERの発現量・発現部位に関して明確に示したものは無い。また、従来からのgenomic actionとして重要である核内ERに関しても従来法DAB染色では評価されているが、明確にその発現量を組織形態を保持した状態で定量化したものは無い。そこで、我々は独自の蛍光ナノ粒子を用いた高精度蛋白定量法を用いて核内ER,膜型ER,さらにはPgRについてもその発現量を定量化し、その下流シグナルと予後に与える影響を明らかにすることを目的とした。 まず5種類の乳癌細胞株(BT474,MCF7,T47D,ZR-75-1,MDA-MB-231)において、核内ER, PgRを標的に蛍光ナノ粒子で標識した1次抗体を用いた免疫染色を施行した。その結果、各乳癌細胞株のPgR発現状況に対応したPgR-蛍光粒子シグナルが検出された。また、通常のDAB免疫染色では認識されないPgR、つまりPgR低発現細胞においてもPgR-蛍光粒子シグナルの検出が可能であった。同様に核内ERに関してもER-蛍光粒子シグナルによる染色性は確認済である。現在はFACSによる細胞株での蛋白量と蛍光粒子シグナルの対比を行っており、その後これらの因子と臨床動態との対比を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
手法の確立に時間を要しやや遅れているが概ね順調に進んでおり、これを基に次年度にさらに発展可能な状態である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は技術の安定化を図り、そこで得られたER, PgRに関する高精度に定量化した値と、実際の臨床動態の対比を行う。主に乳癌予後、内分泌療法感受性に関して、従来のDAB法との差異を検討し、本法の有用性を検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
効率的に研究を遂行できたため、消耗品費が当初の計画よりも少額で済んだため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の消耗品代に計上する。
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