研究課題/領域番号 |
15K15112
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研究機関 | 酪農学園大学 |
研究代表者 |
宮庄 拓 酪農学園大学, 獣医学群, 講師 (50568996)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 動物モデル / LPS / 敗血症 / 肺障害 / モデル構築 / モニター |
研究実績の概要 |
本研究は①重症度をコントロールできるブタ敗血症モデルの構築と②そのモデルを用いた敗血症の治療デバイスや治療薬の効果を多角的に検証することを目的としている。 まず平成27年度は、ブタにLPS (エンドトキシン) を投与して敗血症を作出し、各種モニターによる測定や各種メディエーター測定により、その病態を多角的に検討し、さらに病理組織学的および分子生物学的検索を行い、その詳細を調べ、重症度をコントロールできるブタ敗血症モデルを構築することを目標として取り組んだ結果、LPS誘発性敗血症性肺障害 (ブタ敗血症性ARDSモデル) を作出し得ることが分かった。 それを踏まえて、平成28年度はまず、作出したモデルから得た様々なデータを精査した。その結果、予想以上に多くの測定項目がその病態を表していることが分かった。特に肺血管透過性係数 (PVPI:pulmonary vascular permeability index) と末梢血管の灌流指標 (PI:Perfusion Index) が、他の指標で肺障害が捕らえられない時点においても、その病態を鋭敏に反映する可能性があることが示唆された。それを踏まえ、本モデルの信憑性と再現性を得るために、頭数を増やし、コントロール群とも比較した結果、ブタ敗血症性ARDSモデルを構築出来たことが確認された。また、データの精査からどのようなことをコントロールすれば、軽症のモデルを構築出来る可能性があるのかが示唆された。 そこで、構築したモデルを用いて、現在開発中の新しい敗血症治療デバイスの検討を開始し、現在、その頭数を増やし、検討している。また、敗血症治療薬に関しても検討を始めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は重症度をコントロール出来るモデルの構築を目指したが、まずは重症度の高いモデルの明確な確立が必要と考えて取り組み、その条件検討の段階での様々なデータの解析、精査に時間を要し、検討頭数も増えたため、さらに、その信憑性と再現性の向上のためにコントロール群も加えて検討したため、多少の遅れが生じている。しかしその結果、敗血症性ARDSの新しい指標となり得る測定項目が見出され、予想を上回る良い重症モデルを構築することができたと考え、さらに、軽症モデル構築に対する、多くの有意義なデータを得ることができたことは事実である。 また、治療デバイスの検討においては、その開発が少し遅れたため、少し、検討開始が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
研究を期間内に推進するためのもっとも重要な課題は検討数の確保であることを確認しているため、今後、年間を通して詳細に予定を立て、計画的に検討を進める。新しい敗血症デバイスの数も確保し、治療薬も手配済みであるため、本モデルでの検討を計画的に進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた旅費を支出せず、その分を実験の消耗品に充てたため、その差額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
生じた差額を物品費として、翌年度請求分と合わせて使用する予定である。
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