本研究は①重症度をコントロールできるブタ敗血症モデルの構築と②そのモデルを用いた敗血症の治療デバイスや治療薬の効果を多角的に検証することを目的とした。 まず平成27年度は、ブタにLPS (エンドトキシン) を投与し、重症度をコントロールすることができるブタ敗血症モデルの構築を目標として取り組んだ結果、LPS誘発性敗血症性肺障害 (ブタ敗血症性ARDSモデル) を作出し得ることが分かった。それを踏まえて、平成28年度は、頭数を増やし、作出したモデルから得た様々なデータを精査した結果、予想以上に多くの測定項目がその病態を表していることが分かった。特に肺血管透過性係数 (PVPI:pulmonary vascular permeability index) と非侵襲的に測定できるモニターを用いて測定できる末梢血管灌流指標 (PI:Perfusion Index) および脈波変動指標 (PVI:Pleth Variability Index)が、他の一般的な指標では捕らえられない時点における肺障害を鋭敏に反映する可能性があることが示唆された。それを踏まえ、本モデルの信憑性と再現性を得るために、頭数を増やし、コントロール群とも比較した結果、重症度が把握出来るブタ敗血症性ARDSモデルの構築が確認された。さらに平成29年度は、これらのモデルから得た検体で生体メディエーターの広範囲な解析を行った結果、本モデルにおけるサイトカインをはじめとする生体メディエーターの動向や血球の変動などを把握することが出来、その病態を詳細に把握することが出来た。 構築したモデルを用いての敗血症治療デバイスの検討も行ったが、まだ例数が少なく、今後、さらに検討を重ねる予定である。
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