研究実績の概要 |
奇形腫の作成: 奇形腫に水腫が混在する問題点があった。精巣へ細胞移植後に精巣の位置に戻すが、定位置でない腹腔内では腫瘤は物理的な制御を受けずに増殖するため水腫が奇形腫と共に発生する。これにより、マウスの腹腔に圧がかかる。一方、奇形腫細胞に発現する遺伝子をRT-PCR法にて解析した。分化途中や分化細胞、未分化細胞に発現する約48種類の遺伝子を解析した。最も多くの発現はケラチン5であった。扁平上皮、基底細胞などを認識する。腸管上皮幹細胞マーカーのOLFM4, LGR5, ドーパミンを作るTyrosine hydroxylase (TH)、中胚葉マーカーのSNAIL2, HAND2などが見られた。血管内皮のマーカーは、CD31, CD144の発現以上にCD34が認められた。 細胞単離とソーティング: 表面マーカーにて発現細胞のスクリーニングを行った後に、神経細胞はCD56 (NCAM、神経前駆)、血管内皮細胞はCD34, 線維芽細胞は線維芽細胞抗体(ミルテニー社)を利用して、種々の分化誘導/維持培地にてこれら3種類の細胞を分離培養する手順を開発した。 血管内皮細胞に特異的な遺伝子発現では、元のヒトiPS細胞と比べてCD31が認められ、CD144, CD34は低発現であった。eNOS, SNAIL2、は高発現であった。 新しい抗体、上皮細胞接着分子EpCAM 、ヒト腸管上皮発現のCFTR、気道線毛上皮等の前駆細胞(CPM)、を利用してソーティング、専用培地(気道: BEGM、表皮: EpiLife, 腸管は入手できず)にて約1ヶ月培養を続け、付着した細胞は認められるが、増殖しなかった。原因は、細胞密度にも起因すると考えられ、より多くのソーティング細胞、小さめのディシュでの培養を要すると考えた。また、腸管細胞用の培養液を入手したので利用する
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