研究課題
移植後リンパ球増殖症(PTLD: Posttransplant lymphoprolifirative disorder)は、小児臓器移植後で成人よりも高頻度に発生する。悪性腫瘍の90%以上を占め、移植医療成績を左右する重要な合併症である。EB ウイルス(EBV)によるPTLD 発症(EBV-PTLD)は特に危険度が高い。しかしEBV-PTLD 発症メカニズムはほとんど解明されていない。ドナー臓器と一緒にEBV 感染細胞がレシピエントに移行すると考えられているが確たる証拠は得られていない。また、移植臓器と一緒に移行する感染細胞は非常に少数であることが予想されるが、感染細胞がどこで・どのように増殖および活性化しPTLD を発症するかもほとんど解明されていない。本研究ではヒト化マウスと生体イメージングによる感染細胞のin vivo 可視化を用いてEBV-PTLD の発症機構の解明を目指した。1)EBV感染細胞の増殖には2通りある。(1)潜伏感染細胞が再活性化しウイルス産生細胞へと様式を変え感染により感染細胞を増やす (2)潜伏感染細胞(タイプ0ないしI)が再活性化し増殖に適したタイプIIIの遺伝子発現に変わり細胞増殖により感染細胞を増やすである。本研究により臓器とともに移行すると考えられているEBV感染細胞は再活性化を示すEBV遺伝子発現が全てのマウスで検出されなかったこと、PTLD発症マウスにおいてタイプIIIのEBV遺伝子発現パターンであったことから(2)の可能性が示された。2)移植片からの感染細胞の伝播はまず移植臓器近傍で感染細胞がゆっくり増殖し、ある程度増殖したところで血液によって全身に至る可能性が示された。感染細胞を取り巻く細胞性免疫細胞の機能が低下しているマウスにおいてPTLD発症の可能性が高かったことが示された。
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