研究課題
免疫系の抑制をはずすことによって、強い免疫反応が起き、それによってガン細胞が除去されるという第4のガン治療法が近年注目を集めている。トキソプラズマ原虫を使って、抗原特異的な免疫応答が示されることを示したが、トキソプラズマ原虫に対する免疫応答の抑制をはずすことにより、さらに高い免疫応答が誘導されると考えられるものの、その機構については全く分かっていなかった。本研究で、RabGDIα欠損細胞で、どのようなメカニズムによってIFN-γ依存的な原虫数低下の増強が起こっているかを調べてみた。トキソプラズマの寄生胞を破壊するタンパク質群として知られているIFN-γ誘導性GTP分解酵素「IRGとGBP」の寄生胞への動員を検討した結果、IRGの一つであるIrga6とGBPの一つであるGbp2の寄生胞への動員率が、RabGDIα欠損細胞では対照群に比較して有意に高いことを見出した。またGbp2とIrga6の関係が不明であったことから、Gbp2欠損細胞を作製しIFN-γ刺激によるIrga6の寄生胞への動員率を検討したところ、Gbp2欠損細胞では野生型細胞に比べて低かったことから、Gbp2はIrga6のトキソプラズマ寄生胞への動員を補助であることがわかった。以上のことから、RabGDIαはGbp2を介して間接的にIrga6のトキソプラズマ寄生胞の動員を負に制御していることを示した。本研究成果は、RabGDIαの機能を阻害することによってトキソプラズマに対する免疫機能が大幅に増強したことから、抗原特異的なトキソプラズマ癌ワクチンに対する免疫応答も著しく高くなることが示唆される。
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Cell
巻: 167 ページ: 382-396