研究課題/領域番号 |
15K15125
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
金子 修 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (50325370)
|
研究分担者 |
川合 覚 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (70275733)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 原虫 / マラリア / 人獣共通感染症 / 遺伝子導入 |
研究実績の概要 |
近年、東南アジアのサルに感染しているマラリア原虫Plasmodium knowlesiがヒトに感染することが報告されているが、地域により血中感染率や症状が異なる。通常低い感染率を示すP. knowlesiが、ボルネオでは高い感染率でヒトに感染し、死亡する例も出ている。そのため、P. knowlesiのヒトへの感染性や強毒化する分子基盤を明らかにすることは重要な課題である。そこで、ヒトの赤血球では長期培養ができないが、サルの赤血球では長期培養できるP. knowlesi株に突然変異率を増加させる分子を遺伝子導入し、適応進化を加速することでヒト赤血球で効率よく増殖できる原虫株を確立し、全ゲノム解析により責任遺伝子を同定する事を目的とする。 平成27年度は、サルの赤血球で培養しているヒト赤血球非増殖P. knowlesiクローンに、P. knowlesiの変異型DNAポリメラーゼδを発現するプラスミドを導入し、遺伝子組換え原虫を作製した。コントロール原虫群も同時に調整した。段階的に培地中のサル赤血球をヒト赤血球に置換しながら培養する操作を開始した。また、培養株化に世界で初めて成功したP. knowlesiのHackeri 株のクローン化を行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒト赤血球での発育に適応させている遺伝子組換えH株の増殖速度の増加がまだ見られないため、培養を継続している。また、培養株化したP. knowlesiのHackeri 株の増殖速度が遅く、クローン化に時間がかかったため、複数株での検討が遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
ヒト赤血球での発育に適応させている遺伝子組換えH株の増殖速度の増加がまだ見られれば、プラスミドを除去することで、ヒト赤血球増殖P. knowlesiの変異速度を通常速度に戻す。全ゲノム配列解析と全ゲノム転写解析を行い、ヒト赤血球増殖因子の候補をリスト化し、逆遺伝学的手法によりヒト赤血球で増殖できる責任因子を確定する。再現性を検討するためにHackeri 株でH株と同様の操作を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
ヒト赤血球での発育に適応させている遺伝子組換えH株の増殖速度の増加がまだ見られないため、全ゲノム配列解析および全ゲノム転写解析をする前に予定していた、組換え原虫からのプラスミドの除去操作ステップとクローニングが行えなかった。計画を変更し、これらの操作を次年度にする予定としたため、未使用額が生じた。
|
次年度使用額の使用計画 |
このため、組換え原虫からのプラスミドの除去操作ステップとクローニングを次年度に行うこととし、未使用額はその経費に当てることとしたい。
|