研究課題/領域番号 |
15K15126
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
早坂 大輔 長崎大学, 熱帯医学研究所, 准教授 (10346926)
|
研究分担者 |
鍋島 武 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (30546859)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | マダニ / 次世代シークエンシング / デンソウイルス / リケッチア / PCR |
研究実績の概要 |
昨年度、ベトナムで採集されたクリイロコイタマダニから、パルボウイルス科デンソウイルス属のNS1タンパクの配列に近似の塩基配列が検出されたため、プライマーウォーキング法などにより、より詳細な塩基配列の決定を試みた。また、このウイルス様塩基配列が内在性なのか、または感染性ウイルスとして存在している可能性を検討するために、培養細胞およびウイルス感染に感受性の高いインターフェロンが働かないマウスを用いてウイルス分離を試みた。その結果、さらなる塩基配列は確認できなかったが、ウイルスは分離されなかったため、内在性であることの確認については、さらに解析を続ける必要がある。 長崎、熊本、鹿児島、北海道においてマダニを新たに採集し、マダニ乳剤から核酸を抽出後、次世代シークエンシングにより、病原体遺伝子の網羅的スクリーニングを行ったが、内在性ウイルスを示すデータを得ることができなかった。 しかしながら、多数の検体からリケッチア遺伝子が検出された。マダニはリケッチアを保有することが知られているため、リケッチア遺伝子がマダニゲノム中に内在性遺伝子として存在することは考えにくいが、マダニが保有するリケッチアのなかには哺乳動物へ病原性を示すもの、または示さないものが含まれるため、公衆衛生上の有益な情報を得ることを目的として、リケッチアの保有率や種類の同定を試みた。その結果、長崎では地区により20~64%、熊本では7%、鹿児島、北海道では0%の最小保有率(陽性プール数/プール数)を示した。日本紅斑熱のような病原性を示すリケッチアか、Lonタイプのような非病原性のリケッチアなのかについては今後の解析が必要となる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
デンソウイルス様内在性遺伝子の解析、およびリケッチア遺伝子の解析について、28年度中に完了しなかったため、学術論文として報告することも含めて、29年度に繰り越して継続して研究を行うこととした。
|
今後の研究の推進方策 |
デンソウイルス様遺伝子が内在性として仮定し、マダニゲノムと連続した部分での塩基配列を決定し、塩基配列およびアミノ酸配列から、機能も含めて解析し、学術論文として報告する。 また、リケッチア遺伝子の塩基配列をさらに詳細に決定し、系統樹解析、病原性または非病原性リケッチアであるかの特定、国内のマダニ分布と保有率、種の特定を試み、成果を学術論文として報告する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
デンソウイルス様内在性遺伝子の解析、およびリケッチア遺伝子の解析について、28年度中に完了しなかったため。また、結果を学術論文として報告するため。
|
次年度使用額の使用計画 |
解析に使用する試薬類、プラスチック製品などの消耗品は購入済みのため、解析自体に使用する予定はないが、学術論文として報告するための英文校閲料、投稿料および掲載料として使用する予定である。
|