本研究では培養マラリア原虫(赤血球内寄生期)にその他のステージで働く転写因子を強制発現させて形態変化誘導を試みた。ガメトサイト期の転写因子AP2-G、AP2-G2の強制発現用のプベクター構築は、遺伝子のサイズ、AT-リッチ、遺伝子多型等が原因で達成できなかった。スポロゾイト期の転写因子AP2-Sp強制発現用ベクターは構築に成功し、原虫に導入した。AP2Spの発現の誘導の結果、わずかな原虫増殖率の抑制の他には表現型が得られなかった。過剰発現のon/offの調節が働かなかった可能性も考えられる。今後は、原虫で不足している、遺伝子発現のon/offの仕組みを明らかにする必要があると考える。
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