研究課題/領域番号 |
15K15129
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三室 仁美 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (80396887)
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研究分担者 |
氣駕 恒太朗 東京大学, 医科学研究所, 特任助教 (90738246)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 細菌 |
研究実績の概要 |
病原細菌の多くは、菌体のもつ分泌装置から、菌体のDNAやエフェクター病原タンパク質を宿主に注入することで、宿主への定着や感染を可能とし、病原性を発揮数r。しかし、菌体のRNAを宿主に注入する病原細菌の報告は未だない。申請者らの予備的な研究から、Helicobacter pyrori (H. pylori)は、病原性タンパク質に加え、菌体RNAも宿主に分泌している可能性が示唆された。本研究では、H. pyloriの新規RNAエフェクター分子を明らかにする目的で、H. pyloriがコードするmRNA、rRNA、tRNA、および多数のBacerial small RNA (sRNA) のうち、宿主感染細胞に注入されるRNAを同定し、宿主でのエフェクターとしての機能を検証する。 平成27年度は、以下の研究を実施した。 当初は、H. pylorのRNAの宿主細胞移送を網羅的に調べるために、H. pyloriを感染させた胃上皮由来細胞株に内在するRNAを、ジギトニン溶解法により抽出し、RNAのディープシークエンシングを行い、宿主に注入されているRNA群を特定することを予定していたが、注入される菌体RNAは非常に少量であり、網羅的手法による検出が困難であった。そこで、菌体そのもののsRNAの発現を網羅的にディープシークエンシングにより解析し、発現量の多いsRNAについて、H. pylori感染細胞のジギトニン抽出液中の存在量をセンス鎖特異的リアルタイムPCR法により検出することとした。その結果、複数の候補sRNAを同定することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、複数の候補sRNAを同定することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、前年度に同定した候補菌体RNAの、感染細胞内への移行を、ノーザンブロッティング、およびin situ ハイブリダイゼーション法により確認する。次に、H. pyloriは主に4種類のIV型分泌装置をコードしているため、これらの分泌装置の欠損株をそれぞれ作製し、当該菌体RNAの宿主細胞えの注入の有無を検討する。分泌装置に依存しない分泌様式である場合には、細胞外分泌小胞 (Outer membrane vesicle, OMV) による輸送を考える。菌体よりOMV画分を精製し、リアルタイムPCRやノーザンブロット法などにより、当該RNAがOMVに含まれるか否かを精査する。 次に、同定したRNAの宿主細胞内での機能解析を試みる。まず、H. pyloriの当該RNA欠損株を作製する。作製した欠損変異株を胃上皮細胞感染実験に供し、上皮細胞のmRNA発現プロファイルの変動を、網羅的cDNAマイクロアレイ解析により精査する。さらに、RNAを強制発現させた胃上皮細胞の、ヒトcDNAマイクロアレイを行い、宿主細胞のmRNAの発現パターンへの影響を精査する。さらに、バイオインフォマティクスにより、得られたデータの解析を行い、RNAに相補的な配列をもつかもしくは熱力学的エネルギーがより安定定期なmRNAを選定し、当該RNAの標的宿主遺伝子を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたディープシークエンシングよりも、より適した手法を採用したために、実際の解析にかかる費用を抑えることができた。
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次年度使用額の使用計画 |
代替研究方法として採用する目的RNAと標的宿主遺伝子検出のための試薬等に使用する。
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