研究課題/領域番号 |
15K15130
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中川 一路 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70294113)
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研究分担者 |
野澤 孝志 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10598858)
相川 知宏 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70725499)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | A群レンサ球菌 / イメージング / オートファジー / 膜形成 / Rabタンパク質 |
研究実績の概要 |
細菌の宿主細胞への感染現象は細胞間で単一でなく、特に時空間的に大きな誤差が生じる。そのため、感染時の特定の現象を単一細胞の追跡で捉えるのは困難とされている.また、ライブイメージング解析では特定の現象を可視化するプローブの開発、選択が鍵となるが、感染症研究ではこれらの開発もほとんど進められていない.本研究では、申請者らの研究成果を基に感染の各ステップを可視化するプローブを選定し、これに近年開発が進む多次元蛍光イメージングシステムを導入することで、感染現象をリアルタイムで追跡し、時空間的感染過程、感染制御の分子メカニズムを明らかにすることを目的とした.平成27年度ではA群レンサ球菌によって誘導されるオートファジーに着目し、感染特異的に誘導されて膜形成に関わるRabタンパク質群や、そのRabと結合するSNAREタンパク質群に焦点を当てて、得にRab17, Rab30, Rab35について解析を行った.これらのタンパク質群を、主に2分子会合によって蛍光を発するFluo-chaseを用いることで、これまでオートファジーで機能することが知られていなかったこれらのRabタンパク質群が、細菌感染特異的に機能することを明らかとした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Rabタンパク質群の網羅的な解析により、細菌感染特異的にオートファゴソーム膜に局在するRabタンパク質群を明らかとすることができた.得に、これまで細胞内で機能が未知であった、あるいは、ほとんど機能が明らかにされていないRabタンパク質群の機能の動態を明らかにすることができた.一方、当初の計画でターゲットとしていた細胞膜に局在しているRhoタンパク質群や、機能解析が進んでいるRab5, Rab7については通常のエンドサイトーシス経路あるいはリソソーム経路との明確な違いが認められていないことから、細菌感染特異的に誘導される機能を解明することはできなかった.
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今後の研究の推進方策 |
分子内FRETバイオセンサーの構築 FRETの原理とGFPを応用し、一分子にすべてのバイオセンサーパーツを取り込み、Rasスーパーファミリーの活性をイメージングするために開発されたのが、活性モニター分子Raichu(Ras and interacting protein chimeric unit)である。近年ではRaichuにextended variable (EV)リンカーを導入し、種々のリン酸化酵素およびRab GTPaseのFRETバイオセンサーが開発されている。本研究でもこのEVリンカーを用いたFRETセンサーのデザインを基に、Rab17, 30および35のFRETセンサーを開発する。 iFRETバイオセンサーの検証 作製したセンサー(野生型、恒常活性型、優勢劣性型)を発現させたHeLa細胞の蛍光スペクトルを蛍光分光光度計で計測し、十分なダイナミックレンジを持つことを確認する。またこの FRET センサーの FRET/CFP 比が Rabの不活性化因子の量依存的に低下することを確認する。さらに、センサーは Rabと同じ細胞内局在を示すことを、FRET センサーと mRFP-Rab を HeLa細胞に同時に発現させて顕微鏡観察することにより確認する。
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