研究実績の概要 |
113例の梅毒疑い患者の皮膚潰瘍病変等のスワブを採取し、TE溶液に懸濁後、T. pallidum特異的遺伝子polAおよびTpN47遺伝子を標的としてPCR法で、T. pallidum DNA陽性である50検体を得た。そのうち、T. pallidumの多型遺伝子arp, tpr, Tp0548の型別を実施し、32検体は型別可能であった。もっとも高頻度で検出された型は14d/fで(18/32, 56.3%)であった。 H27年度の試行では検体中のT. pallidum DNA量が少ないことがT. pallidumゲノム解析を困難にしていることが示されていたため、ゲノムDNA増幅試薬GenomiPhi を用いて非選択的に検体中のDNAを増幅することとした。その後、SureSelect (Agilent)カスタムキャプチャライブラリを用いてT. pallidum DNA濃縮を行い、T. pallidum DNAをえることとした。まず最初に、GenomiPhiによる増幅によって導入される塩基配列エラー率を検証した結果、GenomiPhiによるエラー導入は見出されなかった。GenomiPhiによるゲノム増幅試料を出発材料とすることが可能であると判断した。そこで、梅毒DNA陽性検体を用いて、GenomiPhi増幅後、SureSelectでエンリッチし、MiSeqでT. pallidumゲノム塩基配列の取得を試みた。試行した11検体からの梅毒ゲノム配列のcoverageは0~519であった。coverageが100以下のものは4検体存在し、0, 16, 86, 97であった。その他はcoverage 211~519と十分な比較解析が可能であることが示された。coverage 86, 97の2検体が解析可能か詳細を検討することが必要である。
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