研究課題
ヒトヘルペスウイルス6 (HHV-6)は、ヒトに感染するヘルペスウイルスであり、T細胞で増殖できるという他のヘルペスウイルスとは異なった興味深い特徴を持つ。そのエンベロープには、複数の糖タンパク質が、突き刺さっており、代表的なものにgH/gL/gQ1/gQ2複合体およびgBがある。gH/gL/gQ1/gQ2複合体は、T細胞表面に発現しているCD134と結合し、細胞への侵入時に重要な役割を果たすことを、既に、我々は、見出している。しかし、gBに結合する因子は未だ同定されておらず、その機能に関しては不明である。そこで、本研究では、gBが、HHV-6感染にどのような役割を果たしているかを明らかにすることを目的とした。HHV-6 gBは、膜アンカー部分をもち、アンカー部分を基点として、細胞外ドメインと細胞内ドメインに分けられている。細胞内ドメインについての役割は不明であるため、gB細胞内ドメインを欠損させたウイルスを作製し、感染における機能を解析した。結果、ウイルスは、再構築されず、gBの細胞内ドメインは、ウイルス感染に必須であることが明らかとなった。そこで、細胞内ドメイン欠損gBを作製して、293T細胞に遺伝子導入することによって、その局在を調べた。野生型gBは、Golgiに局在したが、細胞内ドメイン欠損gBは、ERに留まり、Golgiには局在しなかった。即ち、gBの細胞内ドメインには、ERからGolgiへの運搬に関与する機能が備わっていることが明らかとなった。他にも重要なモチーフが存在しており、現在それらのモチーフの変異体を作製し、その役割を解析している。
すべて 2016
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Virology.
巻: 490 ページ: 1-5
10.1016/j.virol.2015.12.018. Epub 2016 Jan 21.