研究課題/領域番号 |
15K15155
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
山下 政克 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00311605)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | グルタミン代謝 / 免疫 / アレルギー・ぜんそく / 炎症 |
研究実績の概要 |
Bach2結合分子同定に関する研究では、昨年度、無細胞タンパク質合成システムとアルファスクリーン法により同定したBatfとBach2の相互作用によるグルタミン代謝の制御について解析を進めた。その結果、Bach2/Batf複合体は、Bach2/Irf4複合体と競合的にグルタミナーゼ2(Gls2)遺伝子の5’上流領域に存在するAP-1配列に結合して、転写を抑制していることが分かった。Glsは、グルタミン代謝の律速酵素であることから、現在、T細胞特異的Gls1およびGls2欠損(Gls1-floxed or Gls2-floxed x CD4-Cre TG)マウスを作製し、ヘルパーT(Th)細胞サブセット分化における役割について解析を進めている。 また、IL-4がT細胞抗原受容体(TCR)刺激で誘導された、解糖系とグルタミン代謝の活性化を遷延させる作用を持つことを見いだした。IL-4による解糖系の活性化維持は、グルタミン代謝によって産生される代謝産物のであるアルファケトグルタル酸(αKG)を介して誘導されることが分かった。さらに、αKGは、ヒストン脱メチル化調節を介してTh細胞分化を制御している可能性が示された。さらに、IL-4の下流に位置し、グルタミン代謝制御に関わる分子としてアラニンアミノ基転移酵素 (Alt) 2を同定した。現在、T細胞特異的Alt2欠損(Alt2-floxed x CD4-Cre TG)マウスを作製中である。 一方、Bach2の発現を調節する分子として申請者らが同定した分子、MeninがBach2を介さないメカニズムでアミノ酸代謝を制御している可能性を見いだした。Menin欠損活性化T細胞では、アスパラギン酸アミノ基転移酵素 (Ast) 1の発現低下とアスパラギン酸の枯渇が起こることが、新たに分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほとんどの項目において、当初計画以上に研究は進んでいるが、昨年度入手したGls2欠損マウスは、Gls2の欠損が認められなかったため解析が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、平成27年度の新規知見を基盤に以下の3項目を中心に研究を進める。 (1)アラニン代謝のThサブセット分化における役割 (2)腫瘍抑制因子MeninによるAst1発現維持機構の解明 (3)グルタミナーゼを介したTh細胞分化制御機構の解明
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