前年度の研究により、ハプテン(TNCB、FITC、oxazolon)に結合性を示すITAM受容体候補として3つの受容体を見出し、このうち、受容体安定発現レポーター細胞システムでハプテン反応性を示したDAP12に会合型の二つのIgスーパーファミリー受容体(仮名:IgsfR1、IgsfR2)をハプテン受容体の候補として絞り込んだ。本年度は、これら受容体のアレルギー性接触皮膚炎発症における役割を調べる(マウスを用いたハプテン誘導性contact hyper sennsitivity試験実施)ため、2つの候補受容体のうち、より広いスペクトラムのハプテンに反応性を示したIgsfR2のノックアウトマウスの作成に着手した。そのため、ゲノム編集技術を用いたノックアウトマウスの作成のシステムを動物施設と共同で本学において立ち上げることを試みた。まずIDT社のCRISPR-Cas9系を用いてIgsfR2ノックアウト用のRNPを作成し、これをMφ細胞株であるTHP-1細胞にトランスフェクションして、デザインしたgRNAのin-del誘導効率の検定を行った。その結果、RNPの導入により標的遺伝子領域周辺のdeletionとフレームシフトによるIgsfR1の表面発現の消失が確認されたため、このgRNAをKOマウス作成用に使用することにした。マイクインジェクションによってRNPを導入した135個の受精卵(C57BL/6背景)を仮親に移植し、35匹の産仔を得た。今後、遺伝子スクリーニングによってIgsfR2遺伝子内の標的領域のin-delとフレームシフトを確認し、F1マウスを作成した後、KOマウスを得る予定である。
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