研究実績の概要 |
本研究は、困難な条件下でも優れた実践を行う例を住民主体で発見、普及するPositive Deviance(PD)手法を用いて、①学童の栄養状態、及び②学童の栄養に関する知識、行動や態度の変化を知るために実施された。 本研究では、ネパールにおいて学童を対象にPDを用いた栄養改善活動が学童の栄養・発育状態や摂食状況に及ぼす影響について、クラスター化ランダム比較試験を用いた介入研究を実施した。ベースライン調査では教員24名、8-10年生の学童2,400名への質問紙調査および学童の身体測定を実施し、1991名の回答を得た。介入研究を実施するにあたりネパールDhadhing県、Myagdi県の対象校をランダムに対照群(12校)・介入群(12校)に振り分け、介入群の有志の学童による子どもグループを作成し、PDを学校保健栄養活動を通して共有した。教員が適宜助言を行えるようファシリテーター・トレーニングを実施し、トレーニング終了6か月後にプログラムを評価した。プログラム評価の際には介入群・対照群両方において、ベースライン調査を実施した学童1,991名を対象にした質問紙調査および身体測定を実施し、1,542名より回答を得た。調査結果を基に、PDを用いた栄養改善活動が学童の栄養・発育状態や摂食状況に及ぼす影響について評価した。 6か月という短期間のためもあり身体測定の結果は大きな変化はなかった。しかし、栄養に関する知識は増加した。またPD研修を実施した学校では昼食を持ちよる学童数が増加した。また栄養に関する教師の意識も変化し、積極的に栄養改善活動を実施していた。現在、この結果をもとに学術論文を執筆中である。
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