・指導医評価表の開発研究 日本における妥当性(内部構造)が検証された臨床指導医評価表(JaCTES)を開発した。文献を確認する範囲で、アジア初の内容妥当性、内部構造(信頼性)の検証された臨床指導医評価表を開発し、論文化した。 ・臨床指導医の指導医観に関する研究 臨床指導医6名を対象にインタビュー調査を行った。平均臨床経験25年(21年~29年)、男性5名、女性1名、インタビュー時間は平均40分。現在の指導医としての価値観は、それまで指導を受けた経験に加えて、その後指導医としての経験を元に再構築されていた。また、研修医時代に指導をうけた指導医は、その後指導する際のロールモデルとして機能していた。モデリングには2つの側面があり、ポジティブな側面(積極的に模倣をしたいと思う場合)と、ネガティブな側面(模倣をしたくないと思う場合)があった。前者は、指導への真剣さ、自己効力感、いつでも相談に乗ってもらえるという保証に大きく関連し、後者は、自分や他職種への叱責と関連していた。指導医になって初期の段階では、ロールモデルとしている指導医の模倣を意識した指導をする傾向があるが、指導経験を積むにつれて、自分の価値や考えで指導をしてみたいう意識も生じていた。指導経験により指導医としての自己概念の変化も生じていた。 今後、さらにインタビューを重ねて指導医観の形成を明らかにしていく。
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