シミュレーションによる多職種連携教育が医療系学生のチーム実践力におよぼす影響

2016 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 15K15176
• 研究機関: 東京医科大学
• 研究代表者: 菰田 孝行 東京医科大学, 医学部, 助教 (80532704)
• 研究分担者: 阿部 幸恵 東京医科大学, 医学部, 教授 (20449218)
• 研究期間 (年度): 2015-04-01 – 2018-03-31
• キーワード: シミュレーション / 多職種連携教育 / チーム実践力 / 医療系学生

研究実績の概要

本年度の研究計画は、第1に質問紙調査を実施して「チーム実践力」を測定する尺度を作成しその構造を明らかにすること、第2に実際のシミュレーショントレーニングを実施してトレーニング前後の「チーム実践力」の変化を比較検討すること、以上の2つ研究を遂行することであった。
質問紙調査については、予備調査を実施するに留まり、本調査の実施には至らなかった。その理由は、予備調査の結果から、想定された因子の他に、「スキル」と「意識」の側面を考慮しなければ、「チーム実践力」の尺度を構成できないことが判明したからである。「チーム実践力」の再定義は終了し、本調査の準備は整ったので、来年度速やかに本調査を実施し、「チーム実践力」尺度の完成を目指す。「スキル」と「意識」の側面に着目し、医療系学生の実態に即した「チーム実践力」の構造を明らかにし、ひいては、医療職者の実際の現場でも応用可能なチーム実践力モデルの構築も目指す。
シミュレーショントレーニングについては、昨年度にTBL（Team-Based Leaning）の手法を用いたトレーニング方法を提案し、本年度に新しいTBLの手法を取り入れたトレーニングを試行した。「チーム実践力」尺度が完成しなかったため、効果の測定は不十分であるが、既存の尺度を使用した効果測定では、好評を得られる結果であった。来年度、TBLの手法を用いたシミュレーショントレーニングを本格実施し、知見を積み重ねる。多職種連携教育に応用できるトレーニングモデルの構築も目指す。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

予備調査の結果から、新たな知見が得られたため、その成果を尺度構成に反映させるために、質問紙調査の本調査の実施に至らなかった。「チーム実践力」の再定義は終了したため、すみやかに、本調査に移行する。
TBLの手法を用いたシミュレーショントレーニングを試行し、既存の尺度を用いた効果測定で、好評を得ている。こちらも、本格実施の段階に移行する。

今後の研究の推進方策

第1に、質問紙調査の本調査を速やかに実施する。既に研究協力の内諾を得ているので、調査の実施は容易である。調査実施後、速やかに分析を行い、「チーム実践力」を測定する尺度を完成させる。
第2に、TBLの手法を用いたシミュレーショントレーニングを本格実施する。完成した尺度を用いて、シミュレーショントレーニング前後の差異を測定し、このシミュレーショントレーニングが「チーム実践力」の醸成に寄与することを明らかにする。多職種連携教育のモデルプランとなり得るシミュレーショントレーニングのモデルを構築し、医学教育の発展に寄与するシミュレーションプランの提案にこぎつけたい。

次年度使用額が生じた理由

予定していた質問紙調査の本調査が実施できなかったため、研究補助者の雇用をしなかった。その分の人件費・謝金の支払いがなく、予算を繰り越すことになった。さらに、予定の成果を得られなかったため、海外での学会発表を取りやめた。そのための外国旅費についても、繰り越すことになった。それ以外の項目については、ほぼ予算通りに使用した。

次年度使用額の使用計画

質問紙調査の本調査は翌年に実施予定であり、繰り越し分を費消予定である。外国旅費についても、当該年度に成果を発表するために、出張する予定である。その他の項目についても、当初の計画通りに費消する予定である。