本年度の研究計画は、第1に質問紙調査を実施して「チーム実践力」を測定する尺度を完成させチーム実践力の構造を明らかにすること、第2に実際のシミュレーショントレーニングを実施してトレーニング前後の「チーム実践力」の変化を比較検討すること、以上の2つ研究を遂行することであった。 質問紙調査については、「チーム実践力」尺度の完成を目指して実施され、「チーム実践力」について、「スキル」と「意識」の2測面に着目した尺度を完成させた。調査対象は医学と看護学専攻の大学生であったが、作業療法の学生にも調査を試行することができた。医学と看護学以外の医療系学生は、対象人数が少ないため、検証に十分な成果を得られるに至ってはいない。この先も、医療系の大学生を対象とした調査は継続していきたい。 「チーム実践力」が、「スキル」と「意識」の2側面から定義される構造を示すことができたことは、本研究の成果であるといえ、新しい知見を表すことができたと考える。 シミュレーショントレーニングについては、TBL(Team-Based Leaning)の手法を取り入れたトレーニング方法を実施した。チーム実践力尺度と既存の尺度を使用した測定で、その効果が確認された。この先、脳活動測定装置を活用し、このシミュレーショントレーニングによって、トレーニング実施中に学生の「思考」がより活性化されるようになっていく過程についても実証していきたい。 実践の回数が少ないため、最適なシミュレーショントレーニングのモデルを構築するために、十分な知見を得るに至ってはいない。それでも、本研究で提示したチーム医療の場面を設定したTBLの手法を用いたシュミレーショントレーニングは、多職種連携教育を推進することができるトレーニングモデルになりうる可能性を示すことはできたと考える。
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