本研究の目的は「手術を勧められた若年性子宮頸がん患者の情報リテラシー能力育成プログラムの構築」である。研究代表者所属機関の倫理委員会の承認後に研究代表者が所属する患者会の研究協力の得られた対象者にインタビューによるデータ収集を行い、得られたデータを分析し、以下のような結果が得られた。若年性子宮頸がん患者の情報収集のツールはインターネットが主であった。しかし、書籍のみを情報収集ツールとする患者、日本のサイト以外にも海外の情報サイトを最優先にする患者もおり、様々な視点から情報収集活動をしていることが分かった。得られた情報は治療における意思決定や自身の癒しに活用されていた反面、情報整理ができたと語る患者は少なく、病気の進行により治療が最優先といった、差し迫った状況下では情報整理までは困難な状況であることが分かった。フォローされない情報やバックグラウンドの見えない“体験者”の話は信用性が無いといった顔の見えない情報への疑念は持っていたが、緊迫した状況下では自己に都合の良い情報を優先する傾向があることが分かった。また、患者の身近な支援者が情報収集する場合もあり支援者の情報リテラシー能力が問題と考えられる事例もあった。対象者を若年性子宮頸がん患者に焦点化したことで若年者の情報収集行動の特徴を捉えることができ、「正確な情報を得ること」「情報整理をすること」「情報を自己の個別に照らすこと」の3つが情報リテラシー能力育成のためのプログラムの中心となることが分かった。リテラシー能力には学歴、知識量、年齢、生活環境、価値観、人生観など様々なことが影響を及ぼすことが患者の語りから見えてきた。患者の情報リテラシー能力のレベルを見極めたうえでの、情報提供の仕方、その後のフォローを考えていかなければならないといった課題も見えた。
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