研究課題/領域番号 |
15K15188
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
松井 裕史 筑波大学, 医学医療系, 講師 (70272200)
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研究分担者 |
岡田 知子 国立研究開発法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 上席主任研究員 (30344146)
山本 哲哉 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (30375505)
高岡 栄一郎 筑波大学, 医学医療系, 講師 (50625340) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 循環腫瘍細胞 / アミノレブリン酸 / ポルフィリン / 活性酸素 |
研究実績の概要 |
本研究ではポルフィリン化合物を用いて、体内を循環するがん細胞群(CTC)を検出する技術の開発を目的とする。今年度はポルフィリンを用いた擬似CTC捕捉の検証、およびポルフィリンとその前駆体であるアミノレブリン酸(ALA)をより多くがん細胞に集積させ、がん細胞の検出力を高める手法とそのメカニズム解析について検討を行った。ポルフィリンを取り込ませた4T1E/M3をBALB/cマウスに尾静脈投与し、その後心採血によって全血を採取し、溶血処理し得られた擬似的なCTCをポルフィリン由来の蛍光を利用してフローサイトメーターによって解析したところ、微弱ながらHP含有擬似CTCを検出することができた。しかし、検出されたHP含有擬似CTC数は全細胞数の10%程度であり、ALAやポルフィリンを効果的に細胞に取り込ませる方法が必要である。そこでインドメタシン曝露による活性酸素誘導が細胞へのALA取り込みを増加させる可能性について検討を行った。4T1E/M3のほか転移性の低いマウス由来乳がん細胞株4T1Eにインドメタシンを曝露した後、放射線ラベルしたALA(14C-ALA)を曝露し細胞からの線量を計測し、さらにプロトポルフィリンIX(PpIX)の蛍光量を測定した。この前処理によって14C-ALAからの線量、PpIXの蛍光量ともに増大しており、低転移性の4T1Eに比べて好発転移性の4T1E/M3の方が大きかった。また、電子スピン共鳴法(ESR)を利用して各細胞種における活性酸素産生量をインドメタシン処理群と未処理群で比較したところ、インドメタシン処理によってすべての細胞でESRシグナルのピーク強度が増大しており、その増加度合いは4T1Eよりも4T1E/M3の方が大きかった。以上のことから、インドメタシンなどの前投与ががん細胞へのALA集積を増強させ、CTC検出の感度を向上させる可能性が示唆される。
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