本研究では、患者由来の末梢血単核球細胞と腸管上皮細胞株との共培養法に、さらに腸内細菌を負荷するというまったく新しい実験系を確立することを目的としている。この実験系により、非常にin Vivo に近い状態で、腸内細菌に対するCD患者免細胞の免疫反応を解析することを可能とし、CDの病因解明に迫ることを課題としている。 腸管上皮細胞株とCD患者末梢血単核細胞、腸内細菌の共培養系(ex Vivo システム)を確立するため、平成27年度は腸管上皮細胞モデル作成に取り組んだ。ヒト結腸がん由来の細胞株であるCaco-2細胞は、性質として接着性があり、小腸の円柱上皮細胞に似たflashborderやタイトジャンクションの形態学的特徴をもっているため、本研究で使用することとした。Caco-2細胞の継代培養を行い、下部チャンバーは、マクロファージ、樹状細胞誘導したものを培養しex Vivo モデルを構築するため、患者、健常人コントロールの血清より末梢血単核球の分離を行った。Caco-2細胞に蛍光タンパク質と融合したZO-1を強制発現させ、コラーゲンコートしたフィルター上で培養し腸管上皮細胞モデルの完成をめざしている。
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