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2015 年度 実施状況報告書

新規内因性低分子RNAによる大血管機能評価の臨床検査システム構築への挑戦

研究課題

研究課題/領域番号 15K15196
研究機関鹿児島大学

研究代表者

山口 宗一  鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (20325814)

研究分担者 丸山 征郎  鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 特任教授 (20082282)
伊藤 隆史  鹿児島大学, 医歯学域医学系, 講師 (20381171)
大山 陽子  鹿児島大学, 医歯学域医学部・歯学部附属病院, 特任助教 (20583470)
竹之内 和則  鹿児島大学, 医歯学域医学部・歯学部附属病院, 医員 (30646758)
清水 利昭  鹿児島大学, 医歯学域医学系, 助教 (50468055)
橋口 照人  鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (70250917)
研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2017-03-31
キーワードmiRNA / エクソゾーム / 血管内皮細胞 / 一酸化窒素
研究実績の概要

血管内皮機能評価法は、主に血管内皮細胞由来の一酸化窒素(NO)が血管平滑筋細胞へ働くことによる血管拡張作用、伸展性を測定する脈波、FMD等が中心で、未だ安定した血液生化学検査の客観的評価項目がない。本申請は、主にこれらの細胞で規定される血管内皮機能評価の検査として、NOの刺激で変動しうる血中のエクソゾーム内在低分子RNA測定―特にマイクロRNA(miRNA)測定―を提案した。2年間の研究として、平成27年度は、培養細胞を用いた研究を行った。
(1) エクソゾームが血管内皮細胞から放出されることを超遠心により確認した。このエクソゾームはCD63やCD81といった表面蛋白を保持していることをウエスタンで示した。培養上清から単離したエクソゾームからRNAを抽出してmiRNAをqPCRで検出した。血管内皮細胞に比較的多く発現するmiR-126, miR-22などは、エクソゾームにも高発現していることを示した。特に血管内皮細胞に多く含まれるmiRNAは血中にも多く分泌されており、これらのmiRNAの存在は様々な条件下で確認できた。
(2) TNF-alpha刺激により血管内皮細胞HUVECのNO産生量が増加すること、NO産生酵素(eNOS)がリン酸化されることを確認した。NOドナーを血管内皮細胞に作用させることで、血管内皮細胞の小胞分泌が抑制されることを示しているので、これによってエクソゾームの分泌が減ることを検討中である。
これらの実験で得られた結果を基に、次年度はmiRNA測定を臨床検査レベルで検証できるように、さらに基礎実験とin vivoの実験を進めていく予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成27年度は、in vitroの実験が主であり、次年度に向けた基礎データを構築するためのものと考えている。したがって、エクソゾームを採取しその中のmiRNAを検出できていること、NOの血管内皮細胞への刺激の条件を設定できていること、などから今年度の進行状況はまずまずで、達成度は一定の域に達していると考えられる。
(1)ヒト血中のmiRNAの測定は予備実験において良好の結果が得られており、エクソゾーム中のmiRNAがNOの刺激により量的質的に変化するかを検討するための基礎データが得られた。糖尿病患者では血管機能低下により血管合併症が見られ、NOの低下もその一因である。したがって、NOによるmiRNAの動態は、臨床上も重要なデータとなり得ると考える。
(2)miRNAと比較検討するパラメータとして、PGI2、VWF、IL-8などが予想できるが、これらはTNF-alphaなどのサイトカイン刺激で変化する。培養細胞を使用して、これらの刺激実験の基礎が確立できたことで、次年度へのスムーズな研究のステップアップが図れる。

今後の研究の推進方策

平成27年度の研究により、培養細胞における一定の実験結果を得たので、平成28年度の研究内容に大きな変化は加えない。当初網羅的なmiRNAの検索を行う計画も立てていたが、
血管内皮細胞由来の代表的なmiRNAの一群にスポットを当てて、本年度のin vivoそして臨床上での検討を行っていく予定である。そのうえで、次の2つを中心に研究を遂行していく。
(1)血管内皮細胞由来のmiRNAについて、その培養細胞HUVECやHAECからの放出がNOの刺激で変化することを、qPCRで検討する予定である。様々な条件下で変化するNOに対する血管の反応性をmiRNAで説明できるかの検討を加える。
(2)NOによるmiRNA発現変化をマウスで検討する予定である。まずはC57BL/6マウスにNO産生を阻害するL-NAMEを静脈注射した後、一定時間で採血し、エクソゾーム中のmiRNAをqPCRにより測定する。時間が許せば、疾患モデルマウスを使って、糖尿病などとの関連を検討する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] A Switch in the Dynamics of Intra-Platelet VEGF-A from Cancer to the Later Phase of Liver Regeneration after Partial Hepatectomy in Humans2016

    • 著者名/発表者名
      Aryal B, Shimizu T, Kadono J, Furoi A, Komokata T, Inoue M, Ikeda S, Fukukura Y, Nakamura M, Yamakuchi M, Hashiguchi T, Imoto Y
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 11(3) ページ: e0150446

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0150446

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] SNAP23 Regulates Endothelial Exocytosis of von Willebrand Factor2015

    • 著者名/発表者名
      Zhu Q, Yamakuchi M, Lowenstein CJ
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 10(8) ページ: e0118737

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0118737

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] L.pneumophila感染単核系細胞におけるmiRNA解析2015

    • 著者名/発表者名
      郡山豊泰、山口宗一、竹之内和則、大山陽子、清水利昭、橋口照人
    • 学会等名
      第62回日本臨床検査医学会
    • 発表場所
      岐阜県岐阜市 長良川国際会議場
    • 年月日
      2015-11-19 – 2015-11-22
  • [学会発表] Regulation of Tumor Development by microRNAs - Do microRNAs link to cancer-associated thrombosis?2015

    • 著者名/発表者名
      Munekazu Yamakuchi,Toshiaki Shimizu,Kazunori Takenouchi,Yoko Oyama,and Teruto Hashiguchi
    • 学会等名
      第37回日本血栓止血学会学術集会 学術推進委員会(SPC)シンポジウム1
    • 発表場所
      山梨県甲府市 甲府市総合市民会館
    • 年月日
      2015-05-21 – 2015-05-23
    • 招待講演
  • [学会発表] The significance of miRNA measurement in Legionella pneumophila infection2015

    • 著者名/発表者名
      Toyoyasu Koriyama, Munekazu Yamakuchi, Tuyoshi Kojo, Ryuko Fukuyama, Masakaze Matsushita, Teruto Hashiguchi
    • 学会等名
      第64回日本医学検査学会
    • 発表場所
      福岡県福岡市 福岡国際会議場
    • 年月日
      2015-05-16 – 2015-05-17
  • [図書] 血管病のmicroRNA2015

    • 著者名/発表者名
      山口宗一
    • 総ページ数
      50
    • 出版者
      メディカルビュー社
  • [図書] 血栓止血血管学2015

    • 著者名/発表者名
      一瀬白帝、丸山征郎、内山真一郎、山口宗一
    • 総ページ数
      250
    • 出版者
      金芳堂

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公開日: 2017-01-06  

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