研究課題
血管内皮機能評価法は、ABIやFMDなどの評価によるいわゆる生理機能検査で行われている。前年度は、血管内皮細胞由来の一酸化窒素が血管平滑筋細胞に働くが、エクソソームに注目して、血管内皮細胞から放出されるエクソソームに内包されるmiR-126, miR-22等について検討を加えた。また、炎症反応のTNFalpha刺激や増殖因子のinsulin刺激による血管内皮細胞由来の一酸化窒素が増強されることによるエクソソームの分泌などについて言及した。本年度は、炎症刺激をうけた単核球が内皮細胞機能を変化し得るかを検討する目的で、まず細菌感染による単核球のmiRNAの変化を観察し、miR-218が上昇することを見出した。このmiR-218は、単球系のサイトカイン産生能を変化させるが、このメカニズムを明らかにした。即ち、miR-218はmTORシグナル分子を標的としてその発現を減少させ、TNFalphaやIL-8の産生を間接的に増強する。したがって、これらのサイトカインは近隣の血管内皮細胞に働きかけ、一酸化窒素などの産生能を変化させて内皮細胞機能を制御する。さらに、細かいメカニズムを検討しており、この結果は、現在投稿準備中である。また、血管内皮細胞の一酸化窒素産生酵素eNOSのmiRNAによる制御機構は多角的に検討中であり、miR-218による一酸化窒素産生、その他血管遊走能の変化などを模索している。この2年間の研究で得られた結果を基に、エクソソーム内のmiRNAによる細胞間情報伝達の概念を応用して研究を継続していく。すなわち、単核球から放出されたエクソソームが血管内皮細胞に移行し、内包されるmiRNAによる血管内皮機能変化を探っていく予定である。
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Retina
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