研究課題
本研究目的は、新規検査マーカー可溶性レセプターLR11により診断する幼弱細胞の病的トランジションを同定しその分子基盤を解明することである。高LR11血症が細胞病態をとらえる可能性が明らかになった3病態の病的細胞の同定にチャレンジし、細胞機能変化における可溶性LR11の役割と意義を、おもに患者検体の病理組織学および細胞生物学的アプローチにより探索した。①血液病がん細胞の多能性獲得トランジションにおける役割について、新規に診断したリンパ腫患者DLBCL(diffuse large B-cell lymphoma)においてその診断学的有用性を明らかにした。②代謝血管病細胞の脱分化誘導トランジションにおける役割について、肺高血圧症における病的平滑筋細胞のマーカーとして重要であることを明らかにした。③神経病変性細胞の細胞内転送異常トランジションにおける役割を、米国ワシントン大学と共同でアルツハイマー病早期診断について検討し病理検体解析を中心に一層発展させる見込みを得た。さらに、LR11は眼科領域の増殖性疾患である黄斑前膜の病態にも関わることがわかり、さまざまな病的細胞へのトランジッションのキーレギュレータであり、また検査マーカーとなることが明らかになった。以上より、可溶性LR11は幼弱な病的細胞に共通した分子基盤を担うことが推測された。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件)
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