研究課題/領域番号 |
15K15201
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
奥田 徹哉 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 主任研究員 (20443179)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | モノクローナル抗体 / 糖鎖 / 腫瘍マーカー / コアフコース / 肝細胞がん |
研究実績の概要 |
本研究では、がん細胞に特異的なコアフコシル化糖鎖をターゲットとした高効率の抗原(免疫誘導剤)の調製と、その利用によるコアフコシル化糖鎖認識抗体の獲得を目的としている。哺乳動物由来糖鎖は一般に抗原として免疫系に認識されにくいが、提案者が開発した糖鎖抗原に有効な新規免疫誘導法を用いて、コアフコシル化糖鎖に特異的かつ親和性の高いモノクローナル抗体の獲得を目指している。 平成28年度は、(1)前年度に引き続きハイブリドーマのスクリーニング法について検討し、コアフコースを有する糖タンパク質を固相化抗原としたELISAを確立した。この成果により、ハイブリドーマのスクリーニングに必要な一連の実験系の確立を完了した。(2)目的のモノクローナル抗体を誘導するための免疫誘導剤の調製について検討し、抗原部を構成する糖鎖の調製まで進捗した。(3)前年度に実施した類似の免疫誘導剤を用いた条件検討の結果をもとに、免疫誘導剤の活性増強が期待できる構造上の改良点を見出した。この改良点を導入した免疫誘導剤を十分量得るための合成系をデザインし、現在調製を進めている。(4)モノクローナル抗体の機能評価のため、抗体を用いた糖タンパク質の糖鎖解析技術を確立し、抗がん剤候補物質にて処置したがん細胞に増強する糖タンパク質糖鎖をモデルとして用いて当該技術の有用性を確認した。本成果は本年度中に学会発表ならびに学術論文として成果を公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的のモノクローナル抗体獲得に必要な3工程、免疫誘導剤の作製、抗体誘導条件の検討、ハイブリドーマ作製のうち、ハイブリドーマ作製以外の2工程がほぼ完了した。よって最終年度(平成29年度)は目標とするハイブリドーマの作製まで研究が順調に進捗することが見込まれるため。また、モノクローナル抗体の評価技術について検討した結果が学術論文として公表に至るなど具体的な成果も出ている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は最終年度であり、目標としたハイブリドーマの作製まで研究を進捗させる。具体的には、年度前半に免疫に十分量の誘導剤を調製し、免疫条件の検討を実施したうえでハイブリドーマの作製を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究補助員の雇用を予定し予算を確保していたが、最適な人材が見つからなかったため、研究計画を若干変更し、外部委託等により研究を実施したため。またこの変更に伴い、予算の支払い時期が若干スライドしたため。
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次年度使用額の使用計画 |
研究計画のうち可能な作業について外部委託にて実施する。最適な人材が確保できれば当初の予定額の範囲で人件費として使用する。
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