研究課題
一次感覚ニューロンに発現する温度受容体タンパク質が幾つか同定されているが、既知の温度受容体だけでは哺乳類の熱痛覚を説明できず、50℃を超える高温での痛覚を担う一次感覚ニューロン(熱侵害受容器)とその情報変換機構は不明である。本研究では、高温感受性の一次感覚ニューロンをモデルケースとして、一次感覚神経というヘテロな細胞集団から特定の生理機能を担う神経細胞を特定する手法を構築することを目的とする。具体的には、高温感受性一次感覚ニューロンにおける神経活動依存的タンパク質リン酸化反応や蛍光色素の取り込みという現象を、熱痛覚に関わる細胞と分子の同定に適用することが可能かどうかを検討する。これにより、熱痛覚に関与する細胞の種類を特定し、その発現分子と生理機能を解析して熱痛覚のメカニズムの解明を目指した。28年度は、特に培養ニューロンからの高温応答記録に際して、熱による細胞へのダメージを低減するため、50℃以上の高温刺激を極めて短時間(1秒程度)で与えることが可能な温度刺激装置を自作し、細胞の高温刺激による電流応答の記録を実施した。また、高温応答を示す細胞の発現分子を解析し、細胞タイプを確認した。さらに、この単離細胞での高温依存的な蛍光標識を利用した細胞の単離を試みた。2年間の実験により、一次感覚ニューロンというヘテロな細胞集団から特定の生理機能を担う神経細胞を特定する新たな手法の実践を試み、熱痛覚に関わる未知の細胞・分子メカニズムに関する知見を得た。
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