研究実績の概要 |
本研究の目的は、脊髄損傷後の中枢神経障害性疼痛の新規メカニズムを証明し、さらに本病態におけるα2δ-1サブユニットリガンドの作用機構を解明することである。さらに、α2δ-1サブユニットリガンドの鎮痛治療効果が、細胞接着因子の活性化調節による脊髄での異常興奮伝達調節による、という新規機序を証明することも最終的な目的としている。平成27年度は、特にラット脊髄損傷モデルにおけるα2δ-1サブユニットの動態解析に焦点を絞って実験を進め、以下の途中経過が得られている。 1.ラット脊髄損傷モデルにおけるα2δ-1サブユニットの動態解析:IH Spinal Cord Impactorを用いて、ラット脊髄T10レベルに100kdyneのcontusion injuryを作成した。排尿のコントロール等を行い、一定時間経過後のα2δ-1の脊髄における発現検討を免疫組織化学にて行った。脊髄受傷後、タイムコースを設定して比較的長期の段階まで発現定量を行っている。その結果、明らかにT10レベル及びその尾側の脊髄において、α2δ-1免疫陽性反応の増強が観察された。現在、そのタイムコースを実験及び定量化を行っている。 2.細胞マーカーを用いた(NeuN, Iba-1, GFAP)免疫組織化学二重標識法にて、α2δ-1を発現している細胞種(ニューロン、マイクログリア、アストロサイト)の同定を決定:二重免疫組織化学法により、脊髄で増加しているα2δ-1の発現細胞を調べている。現在実験を継続しており、細胞種の同定は近い内に決定すると予想される。 3.脊髄におけるα2δ-1 mRNAの変化:in situ ハイブリダイゼーション法を用いて脊髄損傷後の脊髄におけるα2δ-1 mRNAの変化を検索中である。大きな変化は観察されていないが、実験継続中である。
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