研究実績の概要 |
本研究の目的は、脊髄損傷後の中枢神経障害性疼痛の新規メカニズムを証明し、さらに本病態におけるα2δ-1サブユニットリガンドの作用機構を解明することである。さらに、α2δ-1サブユニットリガンドの鎮痛治療効果が、α2δ-1サブユニットのどうような発現変化に基づくか、さらにどの細胞における変化を反映しているか、ということを解明したいと考えている。さらにプレガバリンの疼痛行動における効果を確認し、その上でα2δ-1サブユニット発現にどのように影響するかを解明する。これらのデータを一流英文誌での発表を目指している。 平成28年度は、論文完成に向けて、足りないデータの補充、論文の完成に焦点を絞り、以下のポイントの実験を行った。 1.ラット脊髄損傷モデルにおけるα2δ-1サブユニットの動態解析:T10レベル及びその尾側の脊髄において、α2δ-1免疫陽性反応の増強が観察された。そのタイムコースの定量化を行い、論文完成へ向けて定量化を行っている。 2.細胞マーカーを用いた(NeuN, Iba-1, GFAP)免疫組織化学二重標識法にて、α2δ-1を発現している細胞種(ニューロン、マイクログリア、アストロサイト)の同定を決定:二重免疫組織化学法により、脊髄で増加しているα2δ-1の発現細胞を調べた。少なくとも脊髄ニューロンでのα2δ-1 mRNAの発現増加は間違いないと考えられ、より詳細な結論に向けて解析を続行している。 3.後根神経節におけるα2δ-1 mRNAの変化:in situ ハイブリダイゼーション法を用いて脊髄損傷後の後根神経節におけるα2δ-1 mRNAの変化を検索したが、有意な変化は観察されなかった。論文に含有するか検討中である。
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