本研究の目的は、マウス肝臓の全包埋病理切片を用いて、空間分解能が0.05mmの高磁場MRIと病理像を統合し、[Google MAPにおけるストリートビュー」のようなマルチスケールの病理画像システムを構築することである。 H27-28年度にかけて、連携研究者の青木(放射線医学研究所)が造影したマウス肝臓の全包埋連続切片の作成を行ったが、組織膨張の関係などから作成切片の間引きの設定など、細かな条件検討を実施した。特にH28年度では、これらの病理組織像とMRI画像との対比を行い、切片作成の方向性の再検討などを実施し、最終的に切片作成の方向性などについての研究条件の最適化を行った。 現在、こうした条件に基づいた連続切片のHE染色を終了し、血管像との位置合わせを行った上で、バーチャルスライドデータ(浜松フォトニクス)としての取り込みを終了した。また、保存したバーチャルスライドデータと、MRI画像との対比作業を実施中である。 研究期間内に、画像統合、3D化には至らなかったが、今後、保存したデータを使って3D化は継続して実施していく予定である。さらにMRI画像で得られる類洞・門脈域の情報から、推測病理画像を表示させる数理プログラム開発にチャレンジする予定である。もし本研究が成功・発展すれば、画像診断用プローブを局所に当てるだけで、病巣の推測病理組織を表示することが出来る、未来の診断装置の開発につながるものと期待される。
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