研究課題/領域番号 |
15K15221
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
山縣 然太朗 山梨大学, 総合研究部, 教授 (10210337)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 科学コミュニケーション / メディア発表 / 疫学研究 / 公衆衛生学研究 / 国民の意識 |
研究実績の概要 |
わが国の医学系研究の倫理指針、海外のガイドライン、国内外のプロジェクトの開示・公表方針、結果開示による社会的影響に関する過去の事例を整理すること、また、一般市民における研究成果の公表についての意識を明らかにすることと今年度の目的とした。 まず、わが国の研究指針はいずれも公表の方法を研究計画やインフォームド・コンセントに記載するように求めているが、その具体的な方法までは言及していない。一方で、研究ファンド側は科研、厚生労働科研いずれも成果発表会を事業として盛り込んでおり、原則、一般公開の発表会となっている。海外の指針については次年度のまとめとなるが、多くの研究プロジェクトがアウトリーチ活動として積極的に一般公開の成果発表会を行っており、ホームページで公表されている。 一般市民に対する成果公表の意識については、今年度は結果の開示に関して分析した。分析したデータは2012年に我々が実施したゲノム研究に関する一般国民に対する調査を用いた。その中で、結果の開示の希望や参加する際の条件としての結果の開示について質問した。その結果、若い人、科学リテラシーが高い人ほど結果を知りたい傾向にあり、研究参加の条件は、個人情報保護、侵襲が少ないことと並んで結果の開示が最も多かった。 社会的影響を考慮した研究成果の広報の方法についてのフォーカス・グループミーティングを実施した。過去の「納豆を食べるとやせる」という研究成果報道後に店頭の納豆が売り切れになった事例などを資料とした。発表に際して考慮すべき点として、個人情報の保護、誤解されない伝え方、研究成果の持つ意義と不十分な点の提示などを考慮する必要があるとの意見がでた。また、社会への影響のモニタリングの仕組みや相談窓口のあり方の検討がされた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ計画したことを実施した。27年度に実施予定の国民に対する調査は、すでに我々が実施した調査の分析でかなりのことが達成できるために、28年度の早期にその分析を踏まえて実施することとした。また、海外の研究倫理指針における研究成果の公表に関しての分析が次年度に回った。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度の成果を基に関係者のヒアリング、フォーカス・グループ・ミーティングを行って、特に社会的影響を考慮した研究成果の公表のあり方に焦点をあて、公表後の影響のモニタリング方法まで言及した提言をまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に実施予定の国民に対する意識調査を平成28年度に実施することにしため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に調査を実施するための準備を整えているところであり、平成28年度前期の実施を予定している。
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備考 |
社会医学講座ホームページ:http://www.med.yamanashi.ac.jp/social/heal0sci/
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