研究課題
アクリルアミドは、食品に含まれる特定のアミノ酸と糖類が高温で調理した時に生じる物質で、動物実験により、発がん性および成長・生殖に対する毒性が示されている。人の健康影響に関する関心は世界的にも高いものの、日本における疫学研究は、申請者らによる報告以外ない。日本の食品中のアクリルアミド含有量の基礎データが最近蓄積されており、それらのデータを基に日本人のアクリルアミド摂取量を推定可能とし、生殖・発達機能に係る内因性の性ホルモンとの関連を評価した。本年度は、妊婦392名を対象に、妊娠後期(29週)に行った食事記録を基にアクリルアミド摂取量を推定し、妊娠10週、29週、出産時における母親の血中と出産時の臍帯血中におけるホルモン(エストラジオール、エストリオール、テストステロン)値との関連を評価した。また、胎児の成長の度合いとして、出生時体重、身長、頭囲との関連も評価した。年齢、出産数、喫煙状態、妊娠前の身長、体重、測定時の妊娠前からの体重増加、総エネルギーは補正変数として用いた。妊婦における平均アクリルアミド摂取量は一日あたり19.6μgであった。アクリルアミド摂取量が高いと妊娠10週時のテストステロン、臍帯血のエストラジオールが女児を出産した妊婦において高かった。男児を出産した妊婦では、アクリルアミド摂取量とホルモンとの関連は認められなかった。出産児の性別にかかわらず、アクリルアミド摂取量と出生体重は有意な関連がなかった。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)
Am J Epidemiol
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