研究実績の概要 |
減塩による降圧効果を実測するため、2015年6月1日~同年11月30日までに当院に1週間以上入院しNaCl 6g/日以下の減塩食指導を受けた111名の血圧変化を調べた。全体では入院中に収縮期血圧9.67±18.8mmHg、拡張期血圧1.62±14.0mmHg低下した。入院中に血圧が低下した群は、低下しなかった群に比し、入院時収縮期血圧、入院時拡張期血圧が有意に高値であった(SBP 128.9 vs 118.7,p=0.029、DBP 75.1 vs 62.8,p<0.01)。また、両群間で服用している降圧薬種類数は入院時は差がなかったが、前者は退院時に有意に降圧薬種類が減った(p=0.02)。すなわち、入院食による1日6g以下の減塩食は、降圧薬服用者の血圧を有意に低下させ、降圧薬も減量できることが示された。これに従い、病院の減塩食メニューを参考に、適切な献立の立て方、減塩調理の工夫(減塩醤油や無塩パンの使用、漬物をやめて海苔にする、味噌汁量を減らす、等)を学べるようなツールを作成することとした。栄養管理室より減塩指導のコツをヒアリングするとともに、大阪電気通信大学にて「ソルティライフ」という都市での食生活管理を想定した健康管理アプリの作成を進めた。現段階で、1部(食生活記録と評価、アドバイス)、2部(ゲーム「My Cooking」:人数分の献立を考え、食材選択、バランス、全体の塩分量により点数がつくもの。病院減塩食を参考に作成)、3部(健康チェックリスト)の3部構成で、スマートフォン対応ソフトとなっている。引き続きアプリ作成を進め、今後、プロトタイプをモバイルPCにインストールし、外来患者に使用してもらい、データをサーバーに集約、減塩効果、降圧効果の解析と、内容の充実を図る予定である。
|