本研究では、腸管及び腎臓における尿酸排泄機構の解明のため、多数例の急性腸炎や炎症性腸疾患、および血液透析患者等の症例サンプルと臨床データが収集された。その結果、罹患期の急性腸炎患者において、輸送体ABCG2の機能低下は、急性期の患者の血清尿酸値を有意に上昇させ、これは脱水の重症度を考慮しても有意であった。回復期の患者では有意な上昇を認めなかった。さらに、血液透析患者では輸送体ABCG2の機能低下が血清尿酸値の上昇と有意に関連した。すなわち、どちらの病態でもABCG2遺伝子の機能低下型変異が血清尿酸値の上昇を引き起こしており、血清尿酸値は小腸上皮障害のマーカーとして有用である可能性が示唆された。
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