研究課題/領域番号 |
15K15229
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
細川 敏幸 北海道大学, 高等教育推進機構, 教授 (00157025)
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研究分担者 |
斎藤 健 北海道大学, 保健科学研究院, 教授 (40153811)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | レスベラトロール / UV照射 / サーチュイン遺伝子 / エピゲネチック因子 / ピリミジン二量体 / 6‐4光産物 / ヒト表皮角化細胞 |
研究実績の概要 |
抗酸化作用のあることで著名なレスべラトロールの経口摂取により肥満の抑制,長寿遺伝子であるSirt1 の活性化および過酸化脂質産生抑制等の効果があることがこれまで報告されている。一方UV 曝露における皮膚癌の増加,白内障,免疫能の低下および成長阻害等が実験研究および疫学的研究から明らかにされているが,トコフェロール等の防御効果では完全にこれを抑制することが困難である。今回,我々はレスベラトロールの効果が,UV曝露による皮膚のDNA 損傷および酸化ストレス増大の抑制効果にも及んでいるのではないかとの着想を得,ヒト表皮角化細胞及び水晶体上皮細胞を用いてUV照射におけるピリミジンダイマー生成,過酸化物質生成および過酸化由来の細胞死に及ぼすレスベラトロールの抑制機構の解明を本研究の目的とした。本年度はレスベラトロールの細胞に対する曝露量を決めるためにPC12細胞にレスベラトロールを0.5~50 μMの範囲で曝露し、アポトーシスを誘導する曝露量および抗酸化作用を発揮する濃度範囲を明らかにした。また、ヒト表皮角化細胞に240 nmから310 nmの範囲のUV波長を10 nm単位で照射し、DNA損傷の指標であるピリミジン二量体および6-4光産生物量の免疫抗体法を用いた測定を行ない、細胞に対して250~280 nmの範囲のUV照射が、他の波長の照射に比べてこれらの二量体生成が多くなっていること等、基本的なDNA二量体生成に関する動態を明らかにした。その際における長寿遺伝子Sirt1および2、エピゲネチック因子のリアルタイムPCR 法あるいはアポトーシス因子および抗酸化因子等のウェスタンブロット法を用いた測定が可能か否かを確かめ、その全てにおいて有効なデータを得られることを確かめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定に記したもののうち殆どを当該年度に行っている。すでにヒト表皮角化細胞にレスベラトロールを曝露した時の細胞生残率、細胞内SH量などの測定も済ませている。また、次年度に行う予定であったピリミジン二量体および6‐4光産生物の免疫抗体法を用いた測定法確立も既に行った。ただ、ブタ水晶体上皮細胞に付いてはその取得が遅れておりヒト表皮角化細胞で予定よりも進んでいる分やや遅れがみられる。
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今後の研究の推進方策 |
遅れているブタ水晶体上皮細胞に関して、細胞培養法の確立と基本的なUV照射によるDNA二量体生成量あるいはサーチュイン遺伝子のリアルタイムPCRおよび抗酸化因子等のウェスタンブロットを行ない、基本データの取得に本年度前半は主力を注ぐ予定である。またすでに系を確立したヒト表皮角化細胞に関しては240~310 nmの範囲のUV照射を10 nm単位、強度5~100 mJ/cm2を行ない、レスベラトロール曝露の有無による、アポトーシス関連因子、サーチュイン因子等の測定を進めデータの取得に努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月に執行済みだが、支払いが4月になったため。
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次年度使用額の使用計画 |
3月に執行済みのため,計画に変更はない。
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