研究課題
抗酸化作用のあることで著名なレスべラトロールの経口摂取により肥満の抑制、長寿遺伝子であるSirt1の活性化および過酸化脂質産生抑制等の効果があることがこれまで報告されている。一方UV曝露における皮膚癌の増加、白内障、免疫能の低下および成長阻害等が実験研究および疫学的研究から明らかにされているが、有効な防御法は未だ明確には確立されていない。今回、我々はレスベラトロールが、UV曝露による皮膚のDNA損傷および酸化ストレス増大の抑制効果があるのではないかとの着想を得、本研究において、ヒト表皮角化細胞及び水晶体上皮細胞を用いてUV照射におけるピリミジンダイマー生成、6‐4光産物、過酸化物質生成および過酸化由来の細胞死に及ぼす影響を指標にレスベラトロールの抑制機構の解明を目的とした。28年度にヒト角膜上皮細胞の培養条件を決定しUVに対する応答を調べたので、そのUV照射条件におけるピリミジンダイマー生成、6‐4光産物、過酸化物質生成を明らかにした。また、その損傷はレスベラトロールの投与により大幅に緩和すること、レスベラトロール投与はUV照射の前投与あるいは後投与のいずれかがより効果的かを合わせて調べたところ前後に併用することが一番効果が高いことが明らかになった。さらにアネキシンVを用いたフローサイトメトリー解析によると、正常ヒト表皮角化細胞と同様に角膜上皮細胞でも、単純なアポトーシス反応を起こしているのではなく、オートファジーからアポトーシスに進んでいることが確かめられた。またこれらの知見はオートファジー系のmTORのリン酸化が紫外線照射でリン酸化が低減し、レスベラトロール添加で上昇する傾向からも推察が可能になっている。
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