研究課題
感染・炎症や喫煙などの環境因子がエピゲノム異常を誘発する。近年、がん細胞におけるエピゲノム異常に対し、有効に作用する食餌性因子が多数存在することが明らかになりつつある。クルクミンなどのポリフェノールやメラトニンなどの食餌性因子によりエピゲノム異常を解除(リセット)しようとする試みが始まってきている。我々は、感染・炎症関連発がんの解除を目指して予防効果のある食餌性因子の探索を目指す。平成27年度は食餌性因子の影響評価を正確に行う方法の確立のため、重要なエピゲノム異常の1つであるDNAメチル化の精度の高い定量方法の検討を行った。Epstein-Barr virus (EBV)感染関連ヒト上咽頭癌培養細胞および上咽頭癌組織を用いて、従来用いられてきたBisulfite Genomic Sequencing (BGS)法と次世代シークエンサーを用いるBiSulfite Amplicon Sequencing (BSAS)法を比較検討した。すなわち、バイサルファイト処理したDNAを用いてターゲット遺伝子のプロモーター領域をPCR増幅し、BGS法ではサブクローニングにより、BSAS法では次世代シークエンサーによりシトシンのメチル・非メチルを識別した。BGS法とBSAS法との間で良好な相関が見られた。また、BSAS法ではより精度の高いメチル化の検出ができる可能性が明らかになり、現在、さらに高精度の検出ができる方法への改良に取り組んでいる。
2: おおむね順調に進展している
食餌性因子によるエピゲノム異常を解除(リセット)できるか否かを評価する方法の確立は重要で有り、ターゲット遺伝子について癌細胞におけるDNAメチル化レベルを塩基(CpG)単位で測定できる状況にある。現在、さらにその精度を上げる方法の検討にはいっており、おおむね順調に進捗していると考える。
1. 高精度のDNAメチル化率検出方法を確立する。2. ヒト癌細胞に食餌性因子を曝露し、1.で確立した方法を用いて高精度にメチル化率の変化を測定する。3. ヒト癌細胞に食餌性因子を曝露し、microRNAを測定し、また、そのターゲット遺伝子候補を探索する。4. 上記解析でエピゲノム変化の認められた候補遺伝子について、リアルタイムPCRを用い発現変動を確認する。5. 培養細胞に候補遺伝子をトランスフェクションして、その機能を解析し、発がんにおける役割を解明する。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 6件、 査読あり 11件、 オープンアクセス 6件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (18件) (うち国際学会 2件) 図書 (1件)
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