食餌性因子でエピゲノム異常のリセットは可能か？―食によるがん予防を目指して―

2016 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 15K15235
• 研究機関: 三重大学
• 研究代表者: 村田 真理子 三重大学, 医学系研究科, 教授 (10171141)
• 研究分担者: 翠川 薫 三重大学, 医学系研究科, リサーチアソシエイト (20393366)
• 研究期間 (年度): 2015-04-01 – 2017-03-31
• キーワード: 癌 / エピゲノム異常 / DNAメチル化 / 食餌性因子

研究実績の概要

感染・炎症や喫煙などの環境因子が遺伝子損傷のみならず、エピゲノム異常を誘発し、がんの発生・進展に関与することが次第に明らかになってきている。がん細胞におけるエピゲノム異常をポリフェノールなどの食餌性因子によりエピゲノム異常を解除（リセット）しようとする試みが始まってきている。平成27年度に検討したDNAエチル化率の検出方法について個々のCpGのメチル化率が測定可能であるBisulfite Amplicon Sequencing (BAS)法を実施する基盤を確立し、従来法と比較して、BAS法がより高精度にメチル化率を測定できることを明らかにした（論文投稿中）。さらに現在、メチル化DNA感受性・非感受性酵素処理を組み合わせ、リアルタイムPCRにより定量解析する方法についてもBAS法と比較し、簡便な解析方法として利用できるかを検討している。感染・炎症関連発がんの一つであるEpstein-Barr virus (EBV)感染関連上咽頭癌の流行地域の中に、上咽頭癌の発病率が低い地域があり、飲茶習慣との関係が注目されている。そこで平成28年度は食餌性因子のうち、茶葉ポリフェノールであるエピガロカテキンガレート(epigallocatechin gallate: EGCG)の効果を中心に検討した。EBV感染関連ヒト上咽頭癌培養細胞を用いて、EGCG で処理し、DNAメチル異常の解除と遺伝子発現変化についてマイクロアレイチップを用いて統合解析した。その結果、EGCGによりエピゲノム異常が解除される遺伝子候補を見いだしている。現在、これらの候補遺伝子ががんの進展にどのように関与するかについてさらに検討を進めており、今後の研究進展の基礎的データを得ることができた。

研究成果

• [国際共同研究] 広西医科大学(中国)
  • 国名: 中国
  • 外国機関名: 広西医科大学
• [国際共同研究] コンケン大学(タイ)
  • 国名: タイ
  • 外国機関名: コンケン大学
• [雑誌論文] Plasma protein profiling for potential biomarkers in the early diagnosis of Alzheimer's disease. (2017)
  • 著者名/発表者名: Kitamura Y, Usami R, Ichihara S, Kida H, Satoh M, Tomimoto H, Murata M, Oikawa S.
  • 雑誌名: Neurol Res. 巻: 39 ページ: 231-238
  • DOI: 10.1080/01616412.2017.1281195.
  • 査読あり / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Nitrative and oxidative DNA damage in infection-related carcinogenesis in relation to cancer stem cells. (2017)
  • 著者名/発表者名: Kawanishi S, Ohnishi S, Ma N, Hiraku Y, Oikawa S, Murata M.
  • 雑誌名: Genes Environ 巻: 38 ページ: 26
  • DOI: 10.1186/s41021-016-0070-8.
  • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] APOE Genotype in the Ethnic Majority and Minority Groups of Laos and the Implications for Non-Communicable Diseases. (2016)
  • 著者名/発表者名: Midorikawa K, Soukaloun D, Akkhavong K, Southivong B, Rattanavong O, Sengkhygnavong V, Pyaluanglath A, Sayasithsena S, Nakamura S, Midorikawa Y, Murata M.
  • 雑誌名: PLoS One 巻: 11 ページ: e0155072.
  • DOI: 10.1371/journal.pone.0155072. eCollection 2016
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Epigenetic inactivation of follistatin-like 1 mediates tumor immune evasion in nasopharyngeal carcinoma. (2016)
  • 著者名/発表者名: Zhou X, Xiao X, Huang T, Du C, Wang S, Mo Y, Ma N, Murata M, Li B, Wen W, Huang G, Zeng X, Zhang Z.
  • 雑誌名: Oncotarget. 巻: 7 ページ: 16433-16444
  • DOI: 10.18632/oncotarget.7654.
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Inflammation-related DNA damage and cancer stem cell markers in nasopharyngeal carcinoma. (2016)
  • 著者名/発表者名: Wang S, Ma N, Zhao W, Midorikawa K, Kawanishi S, Hiraku Y, Oikawa S, Zhang Z, Huang GW, Murata M.
  • 雑誌名: Mediators Inflamm 巻: 2016 ページ: 9343460
  • DOI: 10.1155/2016/9343460.
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Glutaredoxin 3 promotes nasopharyngeal carcinoma growth and metastasis via EGFR/Akt pathway and independent of ROS. (2016)
  • 著者名/発表者名: He F, Wei L, Luo W, Liao Z, Li B, Zhou X, Xiao X, You J, Chen Y, Zheng S, Li P, Murata M, Huang G, Zhang Z
  • 雑誌名: Oncotarget. 巻: 7 ページ: 37000-37012
  • DOI: 10.18632/oncotarget.9454.
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] DNA damage in CD133-positive cells in Barrett’s esophagus and esophageal adenocarcinoma. (2016)
  • 著者名/発表者名: Thanan R, Ma N, Hiraku Y, Iijima K, Koike T, Shimosegawa T, Murata M, Kawanishi S.
  • 雑誌名: Mediators Inflamm 巻: 2016 ページ: 7937814
  • DOI: 0.1155/2016/7937814.
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Multi-walled carbon nanotube induces nitrative DNA damage in human lung epithelial cells via HMGB1-RAGE interaction and Toll-like receptor 9 activation. (2016)
  • 著者名/発表者名: Hiraku Y, Guo F, Ma N, Yamada T, Wang S, Kawanishi S, Murata M.
  • 雑誌名: Part Fibre Toxicol 巻: 13 ページ: 16
  • DOI: 10.1186/s12989-016-0127-7.
  • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
• [学会発表] インジウム曝露ラット肺における遺伝子発現の網羅的解析 (2017)
  • 著者名/発表者名: 平工雄介、田中昭代、平田美由紀、村田真理子
  • 学会等名: 第87 回日本衛生学会学術総会
  • 発表場所: シーガイアコンベンションセンター（宮崎県宮崎市）
  • 年月日: 2017-03-26 – 2017-03-28
• [学会発表] 軽度認知障害の診断バイオマーカーの探索 (2017)
  • 著者名/発表者名: 北村祐貴、近藤志織、本城貴志、山嶋哲盛、村田真理子、及川伸二
  • 学会等名: 第87 回日本衛生学会学術総会
  • 発表場所: シーガイアコンベンションセンター（宮崎県宮崎市）
  • 年月日: 2017-03-26 – 2017-03-28
• [学会発表] uantitative comparison of DNA methylation for biomarker in Epstein-Barr virus-associated nasopharyngeal carcinoma. (2017)
  • 著者名/発表者名: Weilin Zhao, Kaoru Midorikawa, Ning Ma, Yusuke Hiraku, Shinji Oikawa, Mariko Murata.
  • 学会等名: 第87 回日本衛生学会学術総会
  • 発表場所: シーガイアコンベンションセンター（宮崎県宮崎市）
  • 年月日: 2017-03-26 – 2017-03-28
• [学会発表] Let-7c inhibits migration and epithelial-mesenchymal transition by targeting IGF1R and HMGA2 in head and neck cancer cells. (2017)
  • 著者名/発表者名: Bo Hou, Kaoru Midorikawa, Yusuke Hiraku, Shinji Oikawa, Ning Ma, Mariko Murata.
  • 学会等名: 第87 回日本衛生学会学術総会
  • 発表場所: シーガイアコンベンションセンター（宮崎県宮崎市）
  • 年月日: 2017-03-26 – 2017-03-28
• [学会発表] 寄生虫感染による膀胱癌患者組織における炎症関連DNA損傷とCOX2発現. (2017)
  • 著者名/発表者名: 大西志保、馬寧、村田真理子、平工雄介・及川伸二、小林果、川西正祐.
  • 学会等名: 第87 回日本衛生学会学術総会
  • 発表場所: シーガイアコンベンションセンター（宮崎県宮崎市）
  • 年月日: 2017-03-26 – 2017-03-28
• [学会発表] Increased expression of Glutaredoxin 3 promotes the proliferation and metastasis of nasopharyngeal carcinoma. (2017)
  • 著者名/発表者名: Feng He, Kaoru Midorikawa, Yusuke Hiraku, Shinji Oikawa, Ning Ma, Mariko Murata.
  • 学会等名: 第87 回日本衛生学会学術総会
  • 発表場所: シーガイアコンベンションセンター（宮崎県宮崎市）
  • 年月日: 2017-03-26 – 2017-03-28
• [学会発表] 2D-DIGE 法を用いた軽度認知障害患者の血漿タンパク質のプロファイリング (2017)
  • 著者名/発表者名: 近藤志織、北村祐貴、本城貴志、山嶋哲盛、村田真理子、及川伸二
  • 学会等名: 日本酸化ストレス学会東海支部第 5 回学術集会
  • 発表場所: 愛知学院大学名城公園キャンパス（愛知県名古屋市）
  • 年月日: 2017-02-18 – 2017-02-18
• [学会発表] 化損傷タンパク質を指標としたアルツハイマー病のバイオマーカーの探索 (2017)
  • 著者名/発表者名: 辻本佳世、北村祐貴、木田博隆、佐藤正之、市原佐保子、埜村 智之、 石川雅一、村田真理子、冨本秀和、及川伸二
  • 学会等名: 日本酸化ストレス学会東海支部第 5 回学術集会
  • 発表場所: 愛知学院大学名城公園キャンパス（愛知県名古屋市）
  • 年月日: 2017-02-18 – 2017-02-18
• [学会発表] ラオスにおけるAPOE遺伝子型と生活習慣病 (2017)
  • 著者名/発表者名: 翠川薫、中村哲、翠川裕、村田真理子
  • 学会等名: 第16回分子予防環境医学研究会
  • 発表場所: 熊本市国際交流会館（熊本県熊本市）
  • 年月日: 2017-02-03 – 2017-02-04
• [学会発表] NNKが誘導したマウス肺がんに対するヤマブドウ抽出画分の肺発がん抑制効果に関与するタンパク質の同定 (2016)
  • 著者名/発表者名: 北村祐貴、三宅直子、有元佐賀惠、村田真理子、及川伸二
  • 学会等名: 第45回日本環境変異原学会
  • 発表場所: つくば国際会議場（茨城県つくば市）
  • 年月日: 2016-11-17 – 2016-11-18
• [学会発表] インジウム化合物に曝露した培養細胞におけるニトロ化DNA損傷 (2016)
  • 著者名/発表者名: 平工雄介、Tahmina Afroz、馬寧、川西正祐、村田真理子
  • 学会等名: 日本産業衛生学会東海地方会
  • 発表場所: 浜松医科大学（静岡県浜松市）
  • 年月日: 2016-11-12 – 2016-11-12
• [学会発表] Nitrative DNA damage induced by multi-walled carbon nanotube in human lung epithelial cells via HMGB1-RAGE interaction and Toll-like receptor 9 activation. (2016)
  • 著者名/発表者名: Yusuke Hiraku, Feiye Guo, Ning Ma, Tatsuhiko Yamada, Shumin Wang, Shosuke Kawanishi, Mariko Murata
  • 学会等名: 11th International Particle Toxicology Conference
  • 発表場所: Biopolis Matrix（Singapore）
  • 年月日: 2016-09-26 – 2016-09-30
  • 国際学会
• [学会発表] Tumor suppressing roles of let-7c in head and neck cancer. (2016)
  • 著者名/発表者名: Bo Hou, Hajime Ishinaga, Kaoru Midorikawa, Ning Ma, Weilin Zhao, Shinji Oikawa, Yusuke Hiraku, Kazuhiko Takeuchi, Mariko Murata
  • 学会等名: he 7th EMBO meeting 2016
  • 発表場所: Congress Center Rosengarten Mannheim（Mannheim, Germany）
  • 年月日: 2016-09-10 – 2016-09-13
  • 国際学会
• [学会発表] パーキンソン病患者血漿中のカルボニル化タンパク質の解析 (2016)
  • 著者名/発表者名: 北村祐貴、佐々木良元、市原佐保子、埜村智之、石川雅一、水野章、村田真理子、冨本秀和、及川伸二
  • 学会等名: 第69回日本酸化ストレス学会学術集会
  • 発表場所: 仙台国際センター（宮城県仙台市）
  • 年月日: 2016-08-30 – 2016-08-31
• [学会発表] 発がんにおけるDNA損傷とエピゲノム異常の役割：上咽頭癌での検討. (2016)
  • 著者名/発表者名: 村田真理子
  • 学会等名: 日本耳鼻咽喉科学会中部地方会連合会
  • 発表場所: 津都ホテル（三重県津市）
  • 年月日: 2016-07-16 – 2016-07-16
  • 招待講演
• [学会発表] ヒト肺組織における石綿繊維量とニトロ化DNA損傷との関連 (2016)
  • 著者名/発表者名: 平工雄介、酒井潔、柴田英治、上島通浩、久永直見、村田真理子
  • 学会等名: 第62回東海公衆衛生学会学術大会
  • 発表場所: 穂の国とよはし芸術劇場16プラット（愛知県豊橋市）
  • 年月日: 2016-07-16 – 2016-07-16
• [学会発表] タバコ煙中発がん物質による肺がんマウスに対するサルナシ果汁の発がん抑制効果における比較プロテオミクス解析 (2016)
  • 著者名/発表者名: 北村祐貴、三宅直子、有元佐賀惠、村田真理子、及川伸二
  • 学会等名: 第62回東海公衆衛生学会学術大会
  • 発表場所: 穂の国とよはし芸術劇場プラット（愛知県豊橋市）
  • 年月日: 2016-07-16 – 2016-07-16
• [学会発表] タバコ特異的ニトロサミンNNK誘導マウス肺がんに対するヤマブドウ成分の発がん抑制効果における比較プロテオミクス解析 (2016)
  • 著者名/発表者名: 北村祐貴、有元佐賀惠、谷本雄亮、久保寿夫、木浦勝行、村田真理子、及川伸二
  • 学会等名: 第23回日本がん予防学会総会
  • 発表場所: 名古屋大学鶴舞キャンパス（愛知県名古屋市）
  • 年月日: 2016-07-01 – 2016-07-02
• [学会発表] インジウム曝露ラット肺におけるマイクロRNAと標的遺伝子の発現解析 (2016)
  • 著者名/発表者名: 平工雄介、田中昭代、平田美由紀、村田真理子
  • 学会等名: 第89回日本産業衛生学会
  • 発表場所: 福島市音楽堂（福島県福島市）
  • 年月日: 2016-05-24 – 2016-05-27
• [学会発表] 筋萎縮性側索硬化症の脳脊髄液における酸化損傷タンパク質の同定 (2016)
  • 著者名/発表者名: 北村祐貴、菰田淳、二本松綾乃、佐々木良元、村田真理子、冨本秀和、及川伸二
  • 学会等名: 第80回日本生化学会中部支部例会・シンポジウム
  • 発表場所: 三重大学講堂（三重県津市）
  • 年月日: 2016-05-21 – 2016-05-21
• [学会発表] インジウム曝露ラット肺におけるマイクロRNA発現の網羅的解析と標的遺伝子の探索 (2016)
  • 著者名/発表者名: 平工雄介、田中昭代、平田美由紀、村田真理子
  • 学会等名: 第86回日本衛生学会総会
  • 発表場所: 旭川市民文化会館（北海道旭川市）
  • 年月日: 2016-05-11 – 2016-05-13
• [学会発表] パーキンソン病の血漿中エクソソームのプロテオミクス解析 (2016)
  • 著者名/発表者名: 北村祐貴、佐々木良元、市原佐保子、埜村智之、石川雅一、水野章、村田真理子、冨本秀和、及川伸二
  • 学会等名: 第86回日本衛生学会総会
  • 発表場所: 旭川市民文化会館（北海道旭川市）
  • 年月日: 2016-05-11 – 2016-05-13
• [学会発表] インジウム化合物で処理したマクロファージ培養細胞におけるニトロ化DNA損傷 (2016)
  • 著者名/発表者名: Tahmina Afroz、馬寧、川西正祐、村田真理子、平工雄介
  • 学会等名: 第86回日本衛生学会総会
  • 発表場所: 旭川市民文化会館（北海道旭川市）
  • 年月日: 2016-05-11 – 2016-05-13
• [学会発表] Let-7c functions as a tumor suppressor by targeting IGF1R in head and neck cancer. (2016)
  • 著者名/発表者名: Bo Hou, Kaoru Midorikawa, Yusuke Hiraku, Shinji Oikawa, Ning Ma, Mariko Murata.
  • 学会等名: 第86回日本衛生学会総会
  • 発表場所: 旭川市民文化会館（北海道旭川市）
  • 年月日: 2016-05-11 – 2016-05-13
• [学会発表] Hypermethylation of RERG promoter in nasopharyngeal carcinoma. (2016)
  • 著者名/発表者名: Weilin Zhao, Shumin Wang, Kaoru Midorikawa, Ning Ma, Yusuke Hiraku , Shinji Oikawa, Mariko Murata.
  • 学会等名: 第86回日本衛生学会総会
  • 発表場所: 旭川市民文化会館（北海道旭川市）
  • 年月日: 2016-05-11 – 2016-05-13