本研究では、今後その応用が期待されているナノカーボンに注目し、動脈硬化や血管修復に対する影響を検討し、その作用機序を解明することを目的とした。二層カーボンナノチューブの高濃度投与にて、動脈硬化モデルマウスの大動脈弓における粥腫面積が増加し、インフラマソームの中心的構成因子であるNLRP3の発現と、炎症性因子(VCAM-1, ICAM-1)とサイトカイン(MCP-1)の発現が増加した。二層カーボンナノチューブの高濃度投与は、動脈硬化巣形成を誘発し、その作用機序として、インフラマソームによる炎症誘導機構が関与している可能性が示唆された。
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