研究課題/領域番号 |
15K15238
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
黒田 嘉紀 宮崎大学, 医学部, 教授 (50234620)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 鉱物油 / 自己抗体 / マウス |
研究実績の概要 |
平成27年度はT細胞レセプターについて検討した。具体的にはCD28、ICOS、ICOS-L、CD40、CD40L、PD-1、PD-L1、PD-L2について検討した。これらのレセプターは抗原提示細胞からT細胞への情報伝達機能を持つもので、刺激作用を持つものと、抑制作用を持つものがある。一般的にはT細胞上で刺激作用はCD28、ICOS、CD40Lが、抑制作用はPD-1が持つとされているが、今回マウスに鉱物油の1つであるプリステンを投与し、CD4陽性T細胞を対象として行った結果では無投与のマウスと比較してCD28=上昇、ICOS=上昇、CD40L=上昇、PD-1=上昇であり、刺激系も抑制系も刺激されていることがわかった。一方抗原提示細胞上のco-stimulatory molecule であるICOS-L、CD40、PD-L1、PD-L2はいずれも低下していた。 これらの結果から抗原提示細胞では細胞表面レセプターの発現が低下しているが、T細胞では上昇していることが判明した。一般には抗原提示細胞とT細胞の表面レセプターはお互いにco-stimulatoryの関係にあり、発現が一致するはずであるが、鉱物油投与マウスでは矛盾する結果であった。一方、鉱物油投与マウスでは、SLE様の自己抗体を誘導することがわかっているが、これらの表面レセプターの反応はヒトSLEとは全く異なることから、鉱物油による自己抗体誘導はSLEの機序とは異なる可能性を示したものと考えられた。 今回プリステン以外に、スクワレン、鉱物油の混合物であるIFA、MO-F、MO-HT、MO-S、についての結果もあるが、解析は平成28年度とする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年動物舎において大規模な感染症が起こり、それによって感染症の抑制および感染症の実験への影響を考慮したためマウスの飼育が行えず、予定していた動物実験が行えなかった。従って27年度に予定していた多くの内容は平成28年度に行うこととなった。現在感染症は解消され、新たにマウスを飼育し、鉱物油を投与していることから、平成28年度は実験が行えると思われる。 現時点での進捗状況としては研究実績で示したように、鉱物投与マウスの抗原提示細胞およびT細胞上のCD28、ICOS、ICOS-L、CD40、CD40L、PD-1、PD-L1、PD-L2について検討した。
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今後の研究の推進方策 |
現在感染症は解消され、新たにマウスを飼育し、鉱物油を投与していることから、平成28年度は所定の実験が行えると思われる。平成28年度は当初の計画にあるように、主に抗原提示細胞及びT細胞の表面レセプターの発現についてFCMおよびmRNA等を使用して検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
動物舎に大規模な感染症が発生し、感染症の抑制および感染症の実験への影響を考慮したためマウスの飼育が行えなかったため、やむを得ず平成28年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は、平成27年度に行う予定の実験も合わせ、計画書にある以下の実験を行う予定であるが、平成27年度に行った抗原提示細胞およびT細胞上のco-stimulatory molecule についても詳細な検討を行う予定である。1)鉱物油投与マウスにおけるTh17細胞の存在と自己抗体誘導との関係を検討する。2)Th17細胞のCD3ζの発現について検討する。3)CD3ζ以下のシグナル伝達系(Zap70等)について検討する。4)CD3ζ以下のシグナル伝達系(Zap70等)について検討する。
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