研究実績の概要 |
平成28年度 昨年と同様に鉱物油の免疫学的影響について検討を行った。今年度はプリステンに加えて、スクワレン及び便秘薬(鉱物油の混合物)を投与し、T細胞に加えてマクロファージ及びB細胞への影響について検討した。 研究ではマウスの腹腔内にプリステン、スクワレン及び便秘薬(鉱物油の混合物)を投与し、3ヶ月後に腹腔細胞、脾臓細胞を抽出した。その細胞の中からT細胞、マクロファージ、B細胞をMACSの細胞分離試薬を使用して分離し、各細胞のレセプターであるCD28、ICOS、CD40L、PD1、ICOS-L、CD40、PD-L1,2について検討した。CD28、ICOS、CD40L、PD1はT細胞の表面に存在するレセプターであり、CD28、ICOS、CD40LはT細胞に対して抑制的に働き、PD1は刺激的に作用する。 まずT細胞に関してCD28、ICOS、CD40L、PD1を検討した。抑制作用を持つCD28、ICOS、CD40Lは増加し、刺激作用を持つPD1も上昇していた。この傾向は、プリステン、スクワレン及び便秘薬でほぼ同様であった。次にマクロファージについて検討した。マクロファージは抗原提示細胞であり、T細胞レセプターであるCD28、ICOS、CD40LのリガンドであるICOS-L、CD40、PD-L1.2を有している。ICOS-L、CD40、PD-L1,2の発現はプリステン、スクワレン及び便秘薬でほぼ低下していた。B細胞についてもICOS-L,CD40,PD-L1,2について検討したが、プリステン、スクワレン及び便秘薬でいずれも低下していた。 これらの結果からT細胞では抑制系マーカーも、刺激系マーカーも上昇している一方、抗原提示細胞であるマクロファージあるいはB細胞では、T細胞レセプターのリガンドは低下していることがわかった。
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