研究課題/領域番号 |
15K15241
|
研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
酒井 敏行 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20186993)
|
研究分担者 |
友杉 真野 (堀中真野) 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (80512037)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 分子予防 / がん / タバコ成分 / 免疫 / アポトーシス / TRAIL |
研究実績の概要 |
受動喫煙は、公共の場、職場や家庭などの様々な状況における公衆衛生上の問題の一つであり、がん予防を考える上でも重要な問題である。副流煙によって生じる非喫煙者の受動喫煙と、がん罹患・死亡との関連性が日本人を対象とした疫学調査からも示されている。今回、タバコ成分の曝露によって、体内免疫機能が抑制されるという報告と、がん細胞に対する増殖促進と、細胞死(アポトーシス)耐性に寄与するという報告に着目した。本課題では、抗腫瘍免疫を担う「TRAIL経路」に対するタバコ成分の影響の検証を行った。 1) ヒト免疫細胞におけるTRAIL 産生能に対する、タバコ成分の影響の検討 健常人ボランティアよりインフォームド・コンセントを得た後、採血を行い、ヒト正常末梢血単核球(PBMC)および好中球を分離する。タバコの主成分であるニコチンを用いた。ニコチンの曝露によって、PBMCからのTRAIL産生量に及ぼす影響について検討する。直接免疫蛍光染色(細胞膜型TRAIL量)とELISA(培養上清中TRAIL量)にて評価を行った。今回のin vitro研究で種々の条件について検討を行ったが、ニコチンのTRAIL発現抑制効果は認められなかった。 2) 細胞増殖、アポトーシス阻害分子XIAP、survivin の発現量に対するタバコ成分の影響の検討 文献から喫煙との因果関係が明らかとされている膀胱がんの細胞株T24を用い、ニコチンの曝露による細胞増殖促進効果、およびXIAP、survivin の発現増強効果について検討を行った。しかしながら、既報の条件を含めた複数の条件での検証によっても、細胞増殖促進効果は認められなかった。XIAP、survivin の発現増強は肺がん細胞で報告されている。今回の膀胱がん細胞では、同様の作用は認められなかった。
|