研究課題
ビエンホア市のダイオキシン高暴露地域の出生コホートを対象として、アイトラッカーを用いた視線検査を行い、167名についてデータ解析を行った。視線検出には複数の子供の顔や遊びや日常生活動作を含む画像を15枚用意し、各3秒間提示した時の視線の位置と滞留時間から視線を評価した。まず、被験者には9名の自閉症ハイリスク群が含まれていたため、発達の良好児18名を健常群として、2群の視線の位置や視線の停留時間を比較した。その結果、視線の滞留時間が長い画像が少ないことが、自閉症ハイリスク群の特徴的な点であった。そこで、受検者全体について各画像の視線停留時間の25パーセンタイル値をカットオフとして非視線停留者を定義し、高TCDD暴露群(TCDD3.5pg以上)と中暴露群(3.5未満)における非視線停留者の頻度を、ロジスチック回帰分析を用いて、生下時や母親の因子等を共変量として調整した上で比較した。その結果、女児では、2枚の顔画面で非視線停留群の頻度が高TCDD暴露群で中暴露群に比べ有意に高かった。また、動作の画像では、高TCDD群は、むしろ視線がよく停留していたが、ヒートマップの解析により視線の集まる位置が異なることが明らかになった。また、ミラーニューロン系脳波の測定については、ダナン市のダイオキシン高濃度汚染地域に居住し、8歳児健診参加者の内、小児の攻撃性等の問題行動調査票で基準値以上の値を示した小児37名を対象とした。手の動きの画像およびコントロール画面(ボールの動き)を見ている時に脳波を測定し、専用ソフトで解析後C3、C4のFFT absolute powerを、手の動き画像とコントロール画像で比較した。その結果、C3、C4のα波のpowerが手の動き画面で有意に低下していたが、ダイオキシン指標との関連性は認められなかった。
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