研究課題/領域番号 |
15K15251
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
金井 信一郎 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 助教 (10617541)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | MRSA / エアーサンプリング / 空気感染 |
研究実績の概要 |
本研究はMRSA (methicillin-resistant Staphylococcus aureus)が空気を介する院内伝播をするかどうかを明らかにする目的で行われる。信州大学医学部附属病院入院中の患者で、MRSAが検出された患者から同意をとり、同意が得られた患者のベッドサイド周囲の空中浮遊菌を、空中浮遊菌サンプラー(Air Bio Sampler II)を用いてエアーサンプリングを行う予定であったが、MRSAの新規発生が少なく、対象患者の設定ができていないため、実際のエアーサンプリング開始が行えていない。サンプリング部位はエアーサンプラーで2箇所から行ない、患者から1.5m離れた天井に近い部位,ベッドの高さの2点を1セットとして同時に10分間採取を行う。サンプル採取後の培地は35℃で24-48時間培養し,マンニット分解、卵黄反応陽性のコロニーにつき、Latex凝集法による黄色ブドウ球菌の同定、MRSAスクリーニング寒天培地によるメチシリン耐性の確認を行う。検出されたMRSAの株は薬剤感受性および遺伝子学的背景も検索し、患者と空気中のMRSAの相同性は自動細菌タイピング装置 DiversiLabを用いて確認する。また、電子カルテシステムより検体採取部位、当該患者の抗MRSA薬の使用の有無、呼吸器症状の有無、基礎疾患の有無等を調査し、MRSAが空気中に散布されるリスク因子を調査する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成28年度は5症例程度のMRSA保菌者とその周囲環境から空中浮遊菌のエアーサンプリングを行う予定であったが、平成28年度はMRSAの新規発生患者が少なく、対象患者の設定ができなかったため、エアーサンプリング行えなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度に対症症例が設定できなかったことから、症例数を減らして研究を行う。まずは3症例程度のMRSA保菌者とその周囲環境から空中浮遊菌のエアーサンプリングを行い、MRSAの存在の有無の確認や検体採取上の問題点などを抽出し、問題点があれば改善する。追加症例としてあらたにMRSAが検出された患者のベッドサイド周囲の空中浮遊菌のエアーサンプリングを5症例以上行う。検出されたMRSA株のDiversiLabによる疫学解析を行い、症例を集積する。また、電子カルテシステムより検体採取部位、当該患者の抗MRSA薬の使用の有無、呼吸器症状の有無、基礎疾患の有無などを調査し、どのような患者の周囲でMRSAが空気中に散布されているか調査する。患者の背景は2群間の差の検定はカイ二乗検定、そのほか多変量解析による分析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
培地およびDiversiLabによる遺伝子タイピングを行う際に必要な試薬・消耗品費を使用しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は平成29年度請求額と合せて、遺伝子タイピングを行う際に必要な試薬・消耗品費として使用する。
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