研究課題
医科手術における周術期口腔(機能)管理という概念において、東邦大学大森病院では、「口腔トリアージ方式」という周術期センターにて全患者に対し歯科衛生士による口腔チェックを行い、口腔ケアの必要性を判定したうえで麻酔科医に申告し、処置を歯科・口腔外科へ依頼するシステムを導入している。本研究の目的は、そのシステムとトリアージ基準の妥当性の評価であった。2年目以降は、口腔細菌数のカウントを評価項目に加えることでデータを追加して、口腔トリアージ基準の妥当性を検討した。当初、2年の計画であったが、サンプル数を増やすため、1年延長とした。その結果、口腔細菌数の分布は、トリアージ後の「口腔ケア介入群」と「セルフケア群」の間に有意な差を認め、セルフケア群の中央値が口腔ケア介入群の約10分の1であった。また、両群間に、トリアージ時の細菌数より挿管直前の細菌数が有意に増加することが判明したが、その増加率は、セルフケア群の増加率に比べ、口腔ケア介入群では、約10分の1に抑制されることが明らかになった。その2つの結果を加味すると、理論的には、挿管直前では口腔細菌数は、2群間に差がないと推測されたが、実際の細菌カウント結果でも、両群間の口腔細菌数の中央値に有意な差はなかったため、実際のデータでの裏付けができた。この結果から、トリアージ基準の妥当性が示唆されたため、今後の研究にて、従来の依頼型システム施設との肺炎発症率の比較など、手術疾病を絞った前向き調査を行っていく予定である。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件)
保健つるみ
巻: 41 ページ: 7-9
Geriatric Medicine
巻: 55 ページ: 1233-1238