研究課題/領域番号 |
15K15256
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
濱井 和子 広島国際大学, 看護学部, 准教授 (80461325)
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研究分担者 |
川村 尚也 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 准教授 (80268515)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 補完的サービス / 患者 / 多職種 / 膝関節症 / 膝関節置換術 / 周手術期 |
研究実績の概要 |
本研究は、周手術期患者の入院過程に着目し、患者と病院内の多職種へのインタビュー調査をつうじて周手術期入院医療の補完的サービスおよび中核サービスの実態と、それに対する患者と多職種の認識を明らかにするとともに、多職種の日々の実践に埋め込まれているアイディアの種を掘り起こすことを目的としている。加えて、患者ニーズと多職種のアイディアを矛盾なく統合した、快適で健康回復に貢献しうる補完的サービスのありかたを検討する。 2年目にあたる本年は、前年度に予備調査として実施した入院時日用品レンタルサービスの事例の分析を深め、それを踏まえて中核である次段階の調査の実施方法を再検討した後、調査を行った。前半は、入院時日用品レンタルサービスの分析を通じて、①補完的サービスの内容・提供プロセス・効用を把握する方法論の抽出、②補完的サービスについての病院内多職種の関心傾向、②サービス内容の類似性と提供システムの相違の把握、③サービスに対する評価とサービス提供への関与のありようとの関連性について検討した。成果は、経営系学会で報告するとともに、次段階の調査方法の設計に利用した。 後半は、整形外科に特化あるいは整形外科を主力とする2病院で、①1年以内に手術を受けた患者を対象に、入院前・入院後(手術前と術後)・退院後の補完的サービスに関する体験、②医療チーム(医師・看護師・看護助手・理学療法士・放射線技師・事務職)を対象に、入院患者の回復プロセスと補完的サービスの関連に関する気づきやアイディアについてインタビューを実施した。得られたデータをテキスト化し、現在分析を実施しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、特定の病院のサービスについて、患者と多職種の双方にインタビューを実施する必要がある。対象者に患者が含まれていること、専門職に関しては部門横断的に協力を仰ぐ必要があること、対象者が1病院あたり10余名に上るなことなど、インタビュイーの確保に難渋した。また、患者の体調や治療スケジュール等を優先して調査日程を調整したこと、研究代表者の急な業務環境の変化により研究時間の確保が困難になる等、当初の計画どおりには進捗しなかったが、最終的には予定していた調査を終えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの分析で、さらに追加・焦点化して入手が必要なデータがあると考えている。このデータの存在の有無を確認し、データ獲得を目的に、もう1施設追加して調査を行う予定である。合計3病院のデータを分析、比較したのち、快適かつ健康回復に貢献しうる補完的サービスの検討に着手する。
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次年度使用額が生じた理由 |
病院調査の方法を再検討している過程で、近隣の施設での研究協力が得られることになった。そのため旅費を節約できた。一方、予定していた調査は年度内に実施できたが、対象者側・研究代表者双方の事情により当初よりも調査期間が遷延した。そのため、入手した音声データのテキスト化を年度内に完了することができず残額が生じた。また、調査日程の変更に伴い、研究分担者が参加できないことがあり、その分の費用が残った。
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次年度使用額の使用計画 |
追加調査の際の旅費、謝金、音声データのテキスト化に使用する。平成28年度に実施したインタビューの音声データの残りの一部をテキスト化する費用として使用する。
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