研究課題/領域番号 |
15K15257
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研究機関 | 呉工業高等専門学校 |
研究代表者 |
岩本 英久 呉工業高等専門学校, 機械工学分野, 教授 (40232714)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 外科手技教育 / 運針術 / 人間工学 / 医療の質 |
研究実績の概要 |
平成27年度は①医学教育における基本手術手技の教育状況を把握するために、全国80校の医学部に「基本手術手技に関するアンケート調査」を実施した。その結果、分類定義できた動作は運針、結紮、切断、剥離、焼しゃく、ふさぐ、切開、穿刺の8件であり、医学部生に対して特に重要な基本手術手技は運針と結紮であることも明らかになった。今後、基本手術手技の動作研究や運針術習得システムの開発に興味を有した回答者は53.7%であり、協力も可能であると回答された。また、②手術器械の形状から導出される最適運針動作の理論の構築および動作設計のために、刺入動作と刺出動作のモデル化を行いロボットによる運針実験を行った。また、刺入動作における直線動作に関して、組織損傷量の解析を行った。後者の実験結果においては、刺入角、接線角、刺入深さ、彎曲針の形状を定義することにより、医原性損傷部位の面積を推定することが可能となり、刺入角と接線角に約15°の差を設定して刺入すると、約30%の医原性損傷面積の軽減につながったことが明らかになった。 なお、平成27年度に計画されていた③研修生に対する教育ニーズの調査はできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研修生に対する教育ニーズの調査はできなかったが、その他の計画はおおむね順調に進んでいるため。運針術習得システムの開発についても、連携企業の策定、およびソフトの仕様に関する学術的検討も順調であるため、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は基本手術手技を研究する医工連携組織を立ち上げたいと考えているが、まずはアンケートに協力していただいた医師と連携する。そして、①研修医や医学部生のニーズ調査、②動作の質に関する評価方法の考案、③運針動作の標準化および④運針術習得システムの開発を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
運針術習得システムのソフトを外注するための連携企業を選定することはできたが、ソフトの仕様が定まらず、試作することができなかった。それ故に、計上されていた外注予定のソフト試作費30万円を支出することができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
運針術習得システムはカメラ4台、画像結合器1台、画像処理ソフト一式で構成を考えており、ハードの機器類は物品費70万円から支出し、ソフト一式の試作は80万円および平成27年度の残高14万円を加えて、開発したいと考えている。また、医工連携のため、本研究に協力する医学部を訪問する旅費として30万円、協力する医学生への謝金として10万円を計上する予定である。
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