研究課題/領域番号 |
15K15263
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
新谷 香 (石田香) 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50345047)
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研究分担者 |
足立 善昭 金沢工業大学, 付置研究所, 教授 (80308585)
小山 大介 金沢工業大学, 付置研究所, 講師 (60569888)
山口 武志 金沢工業大学, 付置研究所, 研究員 (20593437)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | SQUID / 磁場 / 血痕 |
研究実績の概要 |
我々が開発した超高感度SQUID磁束計を用いて、血液が担体に付着・乾燥し、血痕となる際に保存された磁場情報を検出できるか否か検討した。血痕の磁化は非常に微弱だが、血痕を左右に揺動しながら本SQUIDで測定し、さらに50回の計測データを加算平均することで、明瞭なシグナルを検出できるようになった。揺動の向きを変えると、シグナル波形は変化することから、シグナル波形は磁化方向を反映することが示唆された。当初は地上に血痕を放置して、地磁気の情報を検出することを試みていたが、フラックスゲート磁束計で実験台周辺の磁場を計測したところ、実験機器、スチール製の什器など様々な磁性体の影響を受けて、周辺の磁場に歪みが生じていることが明らかになったため、まずは基礎実験として、ソレノイドを用いて任意の強度・方向の磁場を作製した中で血痕を磁化させ計測することにした。その結果、磁石のような強磁場に曝すと瞬時に血痕は磁化するが、地磁気程度の磁場(50μT)では長時間(1晩程度)印加しないと磁化しないことが明らかになった。また、一旦微弱な磁場で磁化した血痕を強磁場に曝すと、保存されていた磁場情報は書き換えられることが明らかになった。以上から、本高感度SQUID磁束計を用いて血痕の磁化情報を計測することにより、血痕の置かれた磁場の強度や方向、周囲の環境磁場との異同(血痕が移動したかどうか)などが推定できる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は実験台の上で血痕を地磁気に曝し、血痕に保存される磁場情報を計測する予定であったが、実験を進めていく中で、地上には様々な磁場の歪みがあることが判明した。そこで、まずは基礎実験のために、磁気シールド内でソレノイドを利用して任意の磁場を作製し、血痕に印加することにしたため、当初の計画よりも少し遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、ソレノイドを用いて任意の強度や方向に作製した磁場で印加した血痕を計測し、血痕の磁化と磁場強度や印加時間との相関関係、磁化情報の書き換えに必要な磁場強度等について検討する。そのために、より強い磁場を発生させるためのソレノイドを新たに作製する。また、様々な環境(車や電化製品の近くなど)の磁場を計測し、血痕の磁化に与える影響について考察し、本法が出血現場の磁場情報を推定し得るものになるか検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
血痕磁場計測を本年度に5-6回行なう予定であったが、揺動装置の改良やソレノイドの作製などが必要になり、計測が3回しか行なえなかったため、計測に用いる液体ヘリウムの購入予定費用が残った。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は計測回数を当初計画よりも増やす予定なので、その分の液体ヘリウム費用が必要となる。
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