研究課題/領域番号 |
15K15264
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
近藤 稔和 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (70251923)
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研究分担者 |
野坂 みずほ 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (00244731)
石田 裕子 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (10364077)
木村 章彦 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (60136611)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 体内時計 / オートファジー / 創傷治癒 / 損傷診断 |
研究実績の概要 |
創傷治癒過程における体内時計とオートファジーのクロストークを解析し,新規損傷診断指標を見出すことを目的として本研究を開始した. まず,27年度はマウス皮膚切除損傷モデルを作製し,体内時計およびオートファジーに関連した遺伝子及びタンパクの発現を解析した.これまでの研究で,受傷1日後の損傷組織では時計遺伝子の発現レベルが低下することを既に見出していたが,今回の研究において,受傷2時間までの短時間では寧ろ発現レベルが若干上昇することを見出した.また,時計遺伝子のRev-Erb-alphaおよびROR-gammaのタンパクレベルが受傷後損傷部位で著しく上昇することを明らかにした. 一方,オートファジーについてはオートファジーに関連した分子の遺伝子発現は損傷により大きく変化しないことが示された.しかし,タンパクレベルにおいてオートファジーは受傷後著しく低下すること明らかにし,この現象が損傷の新規生活反応として有用であることを報告した. 体内時計とオートファジーのクロストークについては損傷部位で時計遺伝子の遺伝子発現が低下するにも関わらず,Rev-Erb-alphaおよびROR-gammaのタンパクレベルが著しく上昇する原因がオートファジーの抑制にあると考えて,オートファジーのインヒビターである3MAを用いた実験を行い,オートファジーの抑制がRev-Erb-alphaおよびROR-gammaのタンパクレベルを上昇させることを確認した.受傷部位におけるRev-Erb-alphaおよびROR-gammaのタンパクレベル上昇も優れた新規生活反応となり得ると考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の基となる最も重要な仮説「体内時計とオートファジーのクロストーク」を実験的に証明することに成功している.このことから,創傷治癒の初期におけるオートファジー抑制の意義解明に迫る研究が展開できる可能性が大きく広がった.
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今後の研究の推進方策 |
28年度は創傷治癒の初期におけるオートファジーの抑制が及ぼす治癒への効果を,創傷治癒に関わる分子の発現との関連に着目して解析を進める.特にオートファジーの抑制により蓄積するp62とKeap1およびNrf2の関係を明らかにして,オートファジー抑制による創傷治癒促進効果の分子機構を解明する. また,損傷部位でタンパク発現が著しく増加するRev-Erb-alphaの創傷治癒における役割を明らかにする.
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